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個人情報保護法の改正で注目の「ゼロパーティーデータ」--チーターデジタル加藤CMOに聞く

阿久津良和

2021-09-16 07:00

 2022年4月1日に「令和3年 改正個人情報保護法」(個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律)が施行される。既に海外では、欧州経済領域(EEA)の「一般データ保護規則」(GDPR)、米国カリフォルニア州の「消費者プライバシー法」(CCPA)が施行され、ブラウザーを提供する各企業や広告配信業者は急速な対応を迫られてきた。そのため消費者自身が情報収集の可否を判断できる「ゼロパーティーデータ」に焦点が集まっている。

チーターデジタル日本法人の副社長でCMOの加藤希尊氏
チーターデジタル日本法人の副社長でCMOの加藤希尊氏

 令和3年 改正個人情報保護法では、クッキー(Cookie)データの活用に規制強化が加わる。本来のクッキーは、ウェブサーバーが利用者の状態を特定するための情報をブラウザーに送信し、保存済みの情報をサーバーに返すことで、利用者固有のサービスを受け取るために用意された仕組みである。だが、インターネットが社会基盤として拡大することで、多様な企業がマーケティングや消費者の行動履歴を取得するために使われるようになった。このような背景から同法では、企業はクッキーデータと個人情報をひも付ける際、消費者から同意を得なければならないとしている。このようなクッキーデータは、第三者が取得できることから「サードパーティークッキー」と呼ばれてきた。

 多くのブラウザーはサードパーティークッキーを拒否する設定を用意していることから、同法の施行からサードパーティークッキーの利用機会が減少していくのは火を見るよりも明らかだ。現に米Cheetah Digitalが2020年に世界各国の消費者を対象に行った意識調査によれば、全体の3分の2がサードパーティークッキーに対して不信感を抱いている。だが、サービス向上と引き換えなら自身のデータを提供しても構わないと回答した割合は50%を超えた。このような消費者の趣味や好みといったデータを自ら提供するのがゼロパーティーデータである。

 この言葉を定義した米Forrester Researchのアナリストは、「顧客が意図的かつ積極的にブランドと共有するもの。購入意向、個人的な文脈、個人がどのようにブランドに自身を認識してほしいかが含まれる。(自社のみが収集する)ファーストパーティーデータとは異なり、通常のトランザクションからは得ることができない」と説明している。

 Cheetah Digitalの日本法人で副社長兼CMO(最高マーケティング責任者)を務める加藤希尊氏も「重要なのは消費者の同意を得て、行動を追跡・監視する感覚を与えない方法かつ、消費者が求める価値交換に基づいたコミュニケーションを提案しなければならない。Transactional(購買に応じた特典)、Convenience(便利さの提供)、Experiential(ユニークな体験)の組み合わせが必要だ」と解説した。

企業が収集してきた消費者データの違い
企業が収集してきた消費者データの違い

 元々はメール配信事業で1998年に創業したCheetah Digitalは、「シングルカスタマービュー」「ゼロパーティーデータ」「顧客ロイヤリティー」「マーケティングオートメーション」「パーソナライゼーション」と5つのマーケティング領域に注力してきた。マーケティング基盤として「Customer Engagement Suite」をSaaS(Software as a Service)で提供し、社内にサービスチームを設けて、導入支援やデータ連携、クリエイティブ制作なども手掛ける点が、「ライセンス販売しているベンダーとは大きく異なる優位性」だと加藤氏は強調する。

 肝心のゼロパーティーデータの活用方法について、加藤氏は「Why(なぜそれを行うのか)、How(どのような手段でデータを収集するのか)、What(何のデータを収集するのか)の3つが重要」だと説明する。具体的には第1段階でカスタマージャーニー上の目的を決定し、第2段階でデータの収集方法やエンゲージメント方法を選択する。最後の第3段階で収集データを絞り込む。

 「アパレルであれば身体的特徴やワークスタイル、飲食系なら好みのジャンルや目的。自分たちが重視するカスタマージャーニー上の接点を選んでいくと、簡単にキャンペーンレベルに落とし込める」(加藤氏)という。

 同社のソリューションでは、プレゼントやフォトコンテストなど、約100種類のエンゲージメント手法用テンプレートを用意し、自社のマーケティング施策に要する時間を大幅に短縮できるようにしている。

WWF(世界自然保護基金)ジャパンはコロナ禍で撮影が難しいことから、「WWFダイアリーフォトコンテスト」を実施。「プロ顔負けの写真1000件が集まった。ユーザーだけが持つデータをブランド構築や収益向上、顧客理解に生かした」(加藤氏)事例である
WWF(世界自然保護基金)ジャパンはコロナ禍で撮影が難しいことから、「WWFダイアリーフォトコンテスト」を実施。「プロ顔負けの写真1000件が集まった。ユーザーだけが持つデータをブランド構築や収益向上、顧客理解に生かした」(加藤氏)事例である

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