米国と欧州連合(EU)は、人工知能(AI)や半導体といったさまざまな分野にまたがる連携とともに、市場経済の原則に逆行し、テクノロジーの誤用につながるような行為への対処に向けた作業を推進し始めている。
提供:Getty Images
この計画は米国時間9月29日、米国とEUの間で新たに設けられたEU・米国貿易技術評議会(TTC)の一環としてJoe Biden米大統領や、欧州委員会(EC)のエグゼクティブバイスプレジデントであるValdis Dombrovskis氏とMargrethe Vestager氏を含む米国とEUの代表者が初めて顔を合わせた後に策定された。
TTCは、取り扱いに慎重さが求められるテクノロジーが誤用されないようにするとともに、サイバー攻撃を防ぐための取り組みの一環として6月に設立された評議会だ。TCCはその際、技術上、あるいは貿易上のさまざまな問題への対処に特化した10のワーキンググループを立ち上げることで合意していた。
Dombrovskis氏はTTCの第1回会合に先立ち、「将来的には競合のかたちが大きく変わってくる。テクノロジーをめぐる争いは新たな地政学的戦場となるのだ。また、セキュリティの観点から述べると、われわれは何を輸出するかや、われわれの経済に誰が投資しているのかに目を光らせておく必要がある。彼らが何に投資しているのかについてもだ。われわれが目指すのは、慎重な扱いを要する、軍用にも民生用にも使えるテクノロジーに特化した輸出管理のアプローチだ」と述べた。
EUと米国は会合後に発表した共同声明の中で、TTCはテクノロジーの誤用に対処し、社会を情報の操作や干渉から保護することを目指すと述べた。
またTTCは共同声明の中で、10のワーキンググループが何をするかについての詳細も明らかにした。ワーキンググループの中には、テクノロジー規格の開発や、サプライチェーンのセキュリティの強化、第三世界各国におけるセキュアかつレジリエントなデジタル接続性の実現に向けた財政振興、データガバナンス、独断的な、あるいは違法な監視、輸出規制、慎重な扱いを要するテクノロジーと関連機密データに着目した投資適格審査、中小企業向けのデジタルツールへのアクセスの促進に注力するものがある。