シスコシステムズは11月4日、2022年度の国内事業戦略について報道機関向けのオンライン説明会を開催した。
代表執行役員社長の中川いち朗氏は、2021年初めの社長就任以降、同社が顧客企業や社会にどのような貢献ができるのかという点をメッセージとして発信しているとし、今後は「今までのネットワーク/インフラの会社から、企業のビジネス/社会を変える会社に、そして素晴らしい未来への架け橋になる会社に変えたい」と語った。
シスコシステムズ 代表執行役員社長の中川いち朗氏
また、グローバルで掲げるパーパス(Purpose、企業の存在意義)「全ての人にインクルーシブな未来を実現する(To Power an inclusive future for all)」を紹介し、その意味を「インクルーシブという、誰もが分け隔てなく受け入れられ、認められているという風に実感する社会、これをデジタルで実現することこそシスコの使命である」とした。
そして、デジタル庁の発足など、デジタル化の遅れを挽回すべく政府も動き出している現在、「今こそシスコのパーパスを実現するとき。すなわち、デジタル化の恩恵を受ける人々と受けづらい人々との格差を解消し、誰一人として取り残されない社会を作る大きなチャンスだ」と強調した。
同社の事業については、「総売上に占めるソフトウェアの割合」「ソフトウェア売り上げに占めるサブスクリプションの割合」「総売上に占めるソフトウェア/サービスの割合」がいずれも目標を超えて伸びており、現在では「世界第6位のソフトウェア企業」に位置付けられている。同社自体の改革も進行中だ。
中川氏は社長就任時に掲げた重点戦略について「戦略のフレームワークは変わらない。就任時に立てた戦略のフレームワークが正しかったことを確信するに至った」とし、「日本企業のデジタル変革」「日本社会のデジタイゼーション」「営業/サービスモデル変革」「パートナーとの価値共創」の4本柱の戦略に引き続き注力していく方針を強調した。さらに、この方針を深化させる形で3カ年の活動計画に発展させ、それぞれの柱に対してさらに具体的なテーマを設定して取り組みを進めていくとした。
シスコ日本法人の3カ年成長戦略
最後に同氏は、世代交代が進みつつある同社の新しいリーダーシップチームについても触れた。2022年に創立30周年を迎えるシスコの日本法人では、「新卒で入社した勤続20年クラスの社員ももう既に経営を担うように成長しており、リーダーシップチームのおよそ3分の1を占めるようになった」という。それを踏まえ、「これまで長年日本の成長を支えてきた体制を、内部昇格を中心に新たな世代に刷新し、今までの安定した人材とチームワークはそのままに新しいイノベーションを生み出す体制とした」のが新しいリーダーシップチームだと説明した。
中川氏は「全てのビジネスの基盤は人材と企業文化で支えられている」との考えを示し、新しいリーダーシップチームについて「手前味噌だが、間違いなく日本のIT業界において最高の企業文化と最高のチームワークを兼ね備えたベストメンバーだと自負している」と自信を見せた。