IIJ、ブロックチェーン技術を活用したIoTデバイスの信頼性確保サービスを開始

渡邉利和

2021-12-01 10:02

 IIJグローバルソリューションズ(IIJグローバル)とアイビーシー(IBC)は11月30日、IoTセキュリティ分野で技術提携し、IBCの特許技術を活用した新サービス「IoTトラストサービス」の提供を開始した。

 同サービスは、IBCが提供するブロックチェーン技術を用いた新しい公開鍵基盤(PKI)システム「kusabi」を活用し、IoTデバイスの信頼性確保と適正なデバイス管理を実現するもので、主にIoTプラットフォームベンダー/IoTデバイスメーカー向けにIIJグローバルが販売する。

 インターネットイニシアティブ(IIJ) IoTビジネス事業部長の岡田晋介氏はまず、同社のIoT関連ビジネスの現状について紹介。2020会計年度についてはコロナ禍の影響があり、「リモートメンテナンス用途など、法人向けのモバイルサービスの需要は伸びた一方、新規事業に関わる取り組みは一時停滞した」が、2021会計年度は回復基調だといい、「10月末時点で案件数は2020年度を上回る」と明かした。

 さらに今後の展開について、岡田氏は「世界的な半導体不足の影響で通信モジュールを搭載する機器の納期への影響が出始めるなどの懸念材料が一部あるものの、引き続きの成長が見込まれる」とした。また、案件の内容については産業分野などを中心に、実業務への本格導入が進んできていることもあり、「これまで以上にセキュリティに関する相談が増えつつある」(同氏)と指摘した。

 同社のIoT関連でのセキュリティへの取り組みは、安全な閉域ネットワークとセキュリティブランド「WizSafe」のサービス群によって提供/サポートするのが基本となるが、「IoTセキュリティサービスソリューションの拡充の1つとして、デバイスセキュリティに特化したセキュリティソリューション『IoTトラストサービス』をIIJグローバルから提供を開始する」(岡田氏)という。

(左から)インターネットイニシアティブ IoTビジネス事業部長の岡田晋介氏、IIJグローバルソリューションズ 営業本部 営業開発部 部長の稲田憲二氏、アイビーシー サービス事業部 DX・コンサルティング部 部長の鈴木大和氏
(左から)インターネットイニシアティブ IoTビジネス事業部長の岡田晋介氏、IIJグローバルソリューションズ 営業本部 営業開発部 部長の稲田憲二氏、アイビーシー サービス事業部 DX・コンサルティング部 部長の鈴木大和氏

 続いて、IoTトラストサービスの詳細を説明したIIJグローバル 営業本部 営業開発部 部長の稲田憲二氏は、IoTデバイス数の急速な増加に伴ってIoTデバイスを狙った攻撃が多数を占めるようになってきていることを受けて国際基準やセキュリティガイドラインなどの整備が進み、これに沿った機器の製造や運用が求められるようになってきていることを指摘。ゼロトラストを前提とした対応策が求められる中でIoTデバイスの特性を踏まえた「トラストの実現」が必要だとした。

 同氏はIoTトラストサービスについて、「セキュリティとリソース管理の大きく2つの機能を備える、デバイスの信頼性を高める認証プラットフォームサービス」だと説明した。中核部分には、IBCの特許技術である「電子証明システム」と「デバイスプロビジョニングシステム」を採用し、ブロックチェーン技術を活用した新たなPKIシステムとなっている。

 最後に、IBC サービス事業部 DX・コンサルティング部 部長の鈴木大和氏が、同社の特許技術であるkusabiの概要について説明した。同氏は、IoTセキュリティにはデバイス数が膨大になることに起因する「コスト的課題」と、大量の証明書を更新するコストを下げるため証明書の有効期限を長くすることで更新頻度が低下する「セキュリティ課題」があると指摘。同社はブロックチェーン技術の耐改ざん性に注目し、公開鍵をブロックチェーンで保護することでこの課題を解決したと語った。

IIJのIoT案件概況。コロナ禍の影響で2020年度は前年比ややマイナスとなったが、2021年度は10月末時点で前年度を上回っている

IIJのIoT案件概況。コロナ禍の影響で2020年度は前年比ややマイナスとなったが、2021年度は10月末時点で前年度を上回っている

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