東芝は、再生可能エネルギー(再エネ)アグリゲーション向けに電力市場取引における事業者の戦略的取引を支援する「電力市場取引戦略AI」を開発した。
この人工知能(AI)は、再エネ電源を束ねて電力市場で取引する再エネアグリゲーターに対して、電力の需要量と供給量の差分であるインバランスの発生を回避し、併せて市場取引による収益確保を目指した戦略的取引の意思決定を支援する。
今回開発したアルゴリズムは、日本卸電力取引所(JEPX)のスポット市場と時間前市場に対して、実需給前日のスポット市場入札のタイミングで両市場への売り入札量の最適な割合を算出する。これによりアグリゲーターは、算出された結果に基づいて両市場への売り入札量の割合を変更する戦略的取引の意思決定を行うことが可能となる。
同AIの特徴として、太陽光発電予測技術コンテストでグランプリを受賞するなど高い評価を受けている東芝独自の予測技術と、考慮すべき複数のリスクを条件に最適化問題としてモデル化した新たなアルゴリズムの2つが挙げられる。このアルゴリズムは、高精度な予測データや過去データから多数の将来シナリオパターンを自動生成できる。
今後、実証実験を通じて、同AIにおける実需給前日のスポット市場入札のタイミングにおけるスポット市場と時間前市場での戦略的取引の有効性を検証する。今後市場の活性化が想定される当日の時間前市場での取引や、容量/需給調整市場に対応した戦略的取引を目的とした機能の拡張も目指す。