NECは、物流現場での入出荷作業の生産性を向上させる次世代型の自動搬送ロボット(AGV)を活用したソリューションを開発した。倉庫内の状況をリアルタイムに把握することで、刻々とレイアウトが変化する現場での搬送や人との協調作業を目指す。
このソリューションは、複数ロボットの一括制御に加え、ネットワークの遅延がある場合でも高い制御精度を可能とする。また、同ソリューションに用いる次世代型AGV「協調搬送ロボット」は、多様な形状のユニットロード(カゴ車、平台車などの荷物搬送機器)を人のサポートなしで自動搬送することができる。
2台のロボットが挟み込む形で搬送
倉庫に設置したカメラの映像やセンサー情報を集約し、複数ロボットを一括制御することが可能で、ロボット制御にはNECの「適応遠隔制御技術」を用いて制御精度を向上させている。この技術は、ネットワークで生じる遅延の変動を予測し、その予測結果に基づいて制御する。
従来のAGVは、ユニットロードを搬送するために、ユニットロードをAGVに載せる、あるいは治具によって掴むことなどが必要となる。そのためユニットロードの形が変化すると、新たな治具の開発や、AGV形状に合わせたユニットロードの開発などが求められた。しかし同ソリューションで活用する協調搬送ロボットは、自在輪が付いているユニットロードを人のサポートなしで2台のロボットで挟み込む形で保持し、搬送指示画面からあらかじめ設定した留置位置まで搬送・留置することができる。
今後は、道迷い回避や障害物回避などインテリジェンス機能も搭載する予定だという。NECでは同ソリューションの商用化に向け、物流会社などと実証実験を行い、2022年3月までに商用化を目指す。