ソフトウェア開発の新たな変化--さらに多様なスキルを求められる開発者

Mark Samuels (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル

2022-04-06 07:30

 デジタルトランスフォーメーションがほぼ恒常的に続いていることは、ソフトウェア開発が現代の企業において果たす役割が依然として極めて重要であることを意味しているが、成功する開発者は、技術的な能力だけでなく個人的な心構えも優れている人が多い。

 1つのプログラミング言語に習熟していれば優秀なソフトウェア開発者とみなされた時代は、とうに過ぎ去った。今では、優れた開発者はスタック全体で作業をする。むしろ、さまざまな利害関係者と関わってビジネスの成果を出す能力こそが成功の要因だ、とVerastarの最高技術責任者(CTO)のSpencer Clarkson氏は語る。

 「昨今の優れた開発者の条件は、そうした総合的な理解力だと思う」とClarkson氏。「俊敏な働き方をするとともに、アジャイル開発の概念、すなわち早めに失敗して迅速に開発するということを理解する必要がある」

 この点は他の人も認識している。テクノロジーアナリスト企業Forresterによると、アジャイルデリバリーはデジタルトランスフォーメーションの成功において極めて重要だが、トップ企業はさらに先を行っているという。自社の開発チームの75%以上がアジャイルソフトウェア開発の手法を採用している企業の割合は、低調な企業ではわずか47%だが、好調な企業では93%だ。

 英国の小規模企業16万社以上に幅広いビジネスサービスを提供しているVerastarの場合、同社の長期的な成功に直接結びついているのは、顧客に素晴らしいデータ主導型サービスを提供する優秀なITスタッフの能力だ、とClarkson氏は述べた。

 「したがって、われわれから見て優秀な開発者は、何かを変えたり構築したりしたい理由について考えるだけでなく、データを把握し、それを情報としてユーザーに提示する方法をしっかり理解しようとする」

 Clarkson氏は、こうしたビジネスの成果と顧客の要件への注力が、過去との断固たる決別であると認識している。同氏は自身のキャリアの中で幅広いコーディングスキルを身につけており、20もの言語でプログラミングすることができる。

 しかし、IT部門の責任者に就いているため、最近では自分で実際にコーディングする機会は少ない。さらに重要な点として、同氏はスタッフがコーディングだけに時間を費やすことを望んでおらず、コーディングをする場合、決して1つの言語を専門にすべきではないと考えている。

 「現在は1つの言語だけを習得しても前に進めないと思う」とClarkson氏は述べた。「あらゆる言語、コンストラクト、フレームワークに手を出せるようにしなければならないだろう」

 Clarkson氏によると、ソフトウェア開発者は「Java」「C++」「C#」「Python」などのオブジェクト指向言語を扱う能力の習得と併せて、ビジネス成果の観点から、マイクロサービスやクラウドベースのコンピューティングといった現代的なテクノロジー統合を理解する必要があるという。

 「現在のソフトウェア開発では、何かを一から構築するというより、複数のものを組み合わせるという面が強まっている」とClarkson氏。「優れたアプリや製品は数多くある。それらをどう組み合わせるかが開発者のIPだ。その能力が第1に必要で、マルチスキルが2番目に来る」

 Gartnerによると、イノベーションとデジタル化の継続的な要件が存在するため、企業と従業員は同時に複数の戦略的方向に進む準備をしておく必要もあるという。企業がリモートワークやハイブリッドワークのモデルを採用していく中、今後3年間でより自律的な働き方への転換が起きる、とGartnerは予測する。

 ニューノーマル時代の開発者は、多種多様なパートナーとさまざまな方法で連携するようになるだろう。Verastarは、社内の開発者だけでなく外部の能力も利用しており、Salesforceなどの主要なデジタルトランスフォーメーションパートナーと緊密に連携している。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  2. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  3. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  4. セキュリティ

    いま製造業がランサムウェアに狙われている!その被害の実態と実施すべき対策について知る

  5. セキュリティ

    VPNの欠点を理解し、ハイブリッドインフラを支えるゼロトラストの有効性を確認する

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]