デジタルトランスフォーメーションがほぼ恒常的に続いていることは、ソフトウェア開発が現代の企業において果たす役割が依然として極めて重要であることを意味しているが、成功する開発者は、技術的な能力だけでなく個人的な心構えも優れている人が多い。
1つのプログラミング言語に習熟していれば優秀なソフトウェア開発者とみなされた時代は、とうに過ぎ去った。今では、優れた開発者はスタック全体で作業をする。むしろ、さまざまな利害関係者と関わってビジネスの成果を出す能力こそが成功の要因だ、とVerastarの最高技術責任者(CTO)のSpencer Clarkson氏は語る。
「昨今の優れた開発者の条件は、そうした総合的な理解力だと思う」とClarkson氏。「俊敏な働き方をするとともに、アジャイル開発の概念、すなわち早めに失敗して迅速に開発するということを理解する必要がある」
この点は他の人も認識している。テクノロジーアナリスト企業Forresterによると、アジャイルデリバリーはデジタルトランスフォーメーションの成功において極めて重要だが、トップ企業はさらに先を行っているという。自社の開発チームの75%以上がアジャイルソフトウェア開発の手法を採用している企業の割合は、低調な企業ではわずか47%だが、好調な企業では93%だ。
英国の小規模企業16万社以上に幅広いビジネスサービスを提供しているVerastarの場合、同社の長期的な成功に直接結びついているのは、顧客に素晴らしいデータ主導型サービスを提供する優秀なITスタッフの能力だ、とClarkson氏は述べた。
「したがって、われわれから見て優秀な開発者は、何かを変えたり構築したりしたい理由について考えるだけでなく、データを把握し、それを情報としてユーザーに提示する方法をしっかり理解しようとする」
Clarkson氏は、こうしたビジネスの成果と顧客の要件への注力が、過去との断固たる決別であると認識している。同氏は自身のキャリアの中で幅広いコーディングスキルを身につけており、20もの言語でプログラミングすることができる。
しかし、IT部門の責任者に就いているため、最近では自分で実際にコーディングする機会は少ない。さらに重要な点として、同氏はスタッフがコーディングだけに時間を費やすことを望んでおらず、コーディングをする場合、決して1つの言語を専門にすべきではないと考えている。
「現在は1つの言語だけを習得しても前に進めないと思う」とClarkson氏は述べた。「あらゆる言語、コンストラクト、フレームワークに手を出せるようにしなければならないだろう」
Clarkson氏によると、ソフトウェア開発者は「Java」「C++」「C#」「Python」などのオブジェクト指向言語を扱う能力の習得と併せて、ビジネス成果の観点から、マイクロサービスやクラウドベースのコンピューティングといった現代的なテクノロジー統合を理解する必要があるという。
「現在のソフトウェア開発では、何かを一から構築するというより、複数のものを組み合わせるという面が強まっている」とClarkson氏。「優れたアプリや製品は数多くある。それらをどう組み合わせるかが開発者のIPだ。その能力が第1に必要で、マルチスキルが2番目に来る」
Gartnerによると、イノベーションとデジタル化の継続的な要件が存在するため、企業と従業員は同時に複数の戦略的方向に進む準備をしておく必要もあるという。企業がリモートワークやハイブリッドワークのモデルを採用していく中、今後3年間でより自律的な働き方への転換が起きる、とGartnerは予測する。
ニューノーマル時代の開発者は、多種多様なパートナーとさまざまな方法で連携するようになるだろう。Verastarは、社内の開発者だけでなく外部の能力も利用しており、Salesforceなどの主要なデジタルトランスフォーメーションパートナーと緊密に連携している。