テクノロジー業界は全体としてジェンダーの問題を抱えている。それは開発者職も例外ではない。FRG Technology Consultingの2021年の「Java and PHP Salary Survey」レポートによると、女性の開発者はわずか10人に1人だという。
同じく厳しい統計データが、コンピューターサイエンス分野に進んだ女性の割合だ。この数字は実際に減少しており、1990年には全労働者の32%を占めていたが、2021年には25%に落ち込んだ。気が滅入る統計はまだある。2017年の調査では、女性の書いたコードの方が実際には男性の書いたコードよりも承認率が高かった(女性78.6%、男性74.6%)が、女性のコードの承認率が高いのは、女性が書いたと分かっていない場合だけだった。
こうした好ましくない統計データを改善しようと努力している組織の1つが、Women Who Codeだ。この非営利団体は、ソフトウェア開発に携わる女性を増やすとともに、現在この分野に身を置く女性に安全な場所を提供するべく取り組んでいる。
「技術職は特に給与が高く、非常に安定した仕事だが、女性が技術者に占める割合は約26%にすぎない」。Women Who Codeの製品およびコミュニケーション担当プレジデントのJoey Rosenberg氏は米ZDNetにこう語った。「テクノロジー分野での成功に必要なツールとサポートによってコミュニティーを力づけることで、リーダーたちの多様な視座を高め、それによって他の女性の地位が向上し、良い方向への変化が続いていく流れを生み出したい」
Women Who Codeの使命は、コーディングのプロとして働く女性にさまざまなサービスを提供し、開発者としてのキャリアの幅を広げる支援をすることだ。同団体は、チュートリアルや教材などのコーディングリソース、求人掲示板、奨学金、リーダーシップの機会を134カ国の29万人のメンバーに提供している。
Women Who CodeのシニアリーダーシップフェローであるNaomi Freeman氏が最初に同団体と関わったのは、アイルランドでの会合に参加したときだ。女性のコミュニティーと時間を過ごして、取り組みの内容、スキル、助け合いの方法について語り合うのは新鮮な体験だった、とFreeman氏は語る。
「通常、(女性は)物事を悲観的に考える傾向がある。たとえば『このJavaScriptをどうすればいいか分からない』『自分には正式な経験が足りないと言われた』といった具合だ。Women Who Codeは、その考え方を逆転させて楽観的な見方に変えるとともに、『もう他の業界での経験があるとは、素晴らしい。その経験をどのように生かすか』と言うことで、女性がこの議論や業界にもたらしているものを実際に特定できるようにしていると思う」。Freeman氏は米ZDNetに対してこのように述べた。
これらの会合は、Freeman氏が開発者のキャリアにおいて他の場所で見てきたものとは著しい対照をなす。同氏の記憶に刻み込まれているのは、数百人の男性の参加者に対し女性は約4人だったカンファレンスで話したときのことだ。
「どこの大陸や国でもそうだが、部屋が男性だらけのとき、彼らは同じことをする。見下した態度で話しかけてきて、まるで赤子を相手にしているかのようだ」とFreeman氏。「博士号を取得してテクノロジー分野で10年以上働いている女性はたくさんいる。男性たちは、そうした女性にも同じ口調で話しかけるだろう」
Freeman氏によると、これほどの情熱を持って自分の意見を率直に述べ、Women Who Codeに協力している主な理由の1つは、部屋に自分しか女性がいない状況でひどい経験をしたことだという。
「むしろ、建設的に前進していく方法を見つけることにエネルギーを注いで、自分が乗り越えた障壁を他の女性が経験しなくても済むようにしたい」とFreeman氏は語る。「何より大変なことの1つは、部屋に自分1人しかいないときに、ある集団の代表になることだ。少し気が変になって自分を疑い始めるかもしれない」