米国の古いテレビドラマ「となりのサインフェルド」の主人公のジョークに、「普通の人にとって、一番恐ろしいのは人前で話すことだ。ちなみに2番目は死ぬことだ」というものがある。劇中でサインフェルドは、彼特有の無表情で語るジョークで、葬儀に参加した人のほとんどは、弔辞を言う立場になるくらいなら棺桶に入ることを選ぶだろうと語った。
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このジョークに思い当たる節がある人もいるのではないだろうか?それはあなただけではない。米国立精神衛生研究所によれば、73%の人が、人前で話すことに不安を感じているという。では、人工知能(AI)を使うことで、人が大勢の聴衆の前に出たときの不安を軽くすることはできないだろうか?
それをテーマにしているのが、聴衆からのプレッシャーを感じることなく人前で話すスキルを磨くための無料プラットフォーム「Yoodli」だ。この技術はアレン人工知能研究所で開発されたもので、つなぎ言葉の使用頻度や、話すスピード、声の大きさの変化などの話し方の技術的な側面をリアルタイムで分析する。
Yoodliの共同設立者であるVarun Puri氏は、「話す力を身に付けることは、筋肉を鍛えるようなものだ」と述べている。「運動をする前にウォーミングアップをしたり、瞑想をして精神を落ち着けたりするのと同じように、話をするために体を鍛えることができる。Yoodliでは、人前で話すための準備は、ストレスを感じることなく楽しくできるはずだと考えている。即興でのスピーチや面接のスキルを身に付けるための、AIを活用した日常的に使える練習教材を作ったのは、そのためだ」
興味深いのは、別の自己研鑽であるフィットネスの分野でも、このようなアプリケーションが一般的になってきていることだ。スマートミラーを使えば、混雑したジムや厳しいレッスンなどのプレッシャーを感じずに、インタラクティブなコーチングを受けつつ、ワークアウトの習慣を身に付けることができる。別の言い方をすれば、手探りで基礎を学んでいる間、他人から評価を受けずに済むということだ。