優れた人工知能(AI)を実現するためには、優れた設計の情報アーキテクチャー(IA)が必要になる。AIに関して難しいのは、人間の問題とデータの問題が密接に絡んでいることだ。そして、やるべきことはどちらの面にもたくさん残っている。
提供:Joe McKendrick
これが、IBMのグローバル最高AI責任者を務めるSeth Dobrin氏の主張だ。「AIにはデータが必要だが、腰を落ち着けて、すべてのデータについて、データをどこに置き、どのように組織化すべきかを十分に検討したAI戦略を策定している組織はほとんどない」と同氏は言う。「IT担当者は、AIに入力するためのデータを少なくとも20種類のデータソースからかき集めており、数百のデータソースが必要になる場合もある。つまりこれはビッグデータのインフラの問題だ」
AIにはデータが必要であるため、情報アーキテクチャー(IA)に関するアプローチが必要になると同氏は指摘する。「IAなしにAIはない。今日のデータ環境はハイブリッドになっており、マルチクラウドであるため、一元化は解決策になり得ないし、それは解決策ではない。AIの実現には、プライバシー、コンプライアンス、セキュリティを大規模に保証できるデータファブリックが必要になる」
解決すべき問題には、ソリューションでどんなデータが使われているかや、そのソリューションが機能するためには、それらのデータをすべて収集し続ける必要があるのかということも含まれる。さらに、データがどのように保存されているのか、どのくらいの期間保存されているのかについても調査する必要がある。「これらの疑問に答えるには、1つの組織の中にあるたくさんの視点が必要であり、データやAIにエンタープライズデザイン思考を適用することは、事業戦略とAI戦略をつないで実行するための明確な意図と計画を定めるためのアプローチを提供してくれる」と同氏は言う。
AIは人間中心の取り組みであるため、コラボレーションが重要になる。Dobrin氏は、「私たちは、AI環境がビジネスサイドや、IT部門サイドや、データ管理サイドだけで構成されていると、どうしても重要な知見が失われることに気づいた」と述べている。「AIソリューションを慌ててまとめて、急いで本番に持ち込むと、ビジネスリーダーや消費者がそれを信頼することは非常に難しくなる」