NECは6月30日、メインフレームの新製品となる「i-PX AKATSUKI/A100シリーズ」を発表した。高性能化や高信頼化、省スペース化および統合運用化など、メインフレームの継続的進化を実現したとしている。
「i-PX AKATSUKI/A100シリーズ」
i-PX AKATSUKI/A100シリーズは、従来機「i-PX9800/A200」の後継モデルで、1974年に提供を開始したACOSメインフレームの最新モデルになる。同社は、このモデルにビジネスを進化させ、「新たな夜明け」をもたらすとの意味を込めて「AKATSUKI(=暁)」と新たに命名したという。
内部に自社開発の新プロセッサー「NOAH-7(NEC One chip ACOS Hardware engine - 7th generation)」を搭載する。i-PX9800/A200に比べコア数を4コアから8コア、最大性能モデルでは32コアから48コアに拡張し、システム性能としては約2倍に向上している。AES 256ビット暗号アルゴリズムによるデータ暗号化エンジンを内蔵しており、業務アプリケーションに左右されることなく、データの暗号化/復号処理を高速に実行できるようにしている。
また、高密度実装によって最大システム構成時における設置床面積が約4.1平方mから約2.7平方mに約33%減少した。他方で性能/消費電力比は2.8倍に向上した。運用面では、新たに同社の「WebSAM SystemManager G」が対応し、オンプレミスやクラウドと一緒にi-PX AKATSUKI/A100シリーズを統合運用管理できるようになった。ジョブ機能の「WebSAM JobCenter」も強化し、「ACOSジョブ実行部品」「ACOSメッセージ監視部品」機能を追加して、よりきめ細やかなジョブの実行を可能にしたという。
最小構成による販売価格は月額940万円から。同社は、発売後5年間で200台の導入を見込んでいる。
ハードウェア面での進化
NECは、2016年9月にACOSメインフレームを今後も継続して開発、提供していく「ACOSシリーズ継続宣言」を表明。その後、2018年に経済産業省が発表した通称「DXレポート」を契機に、メインフレームなどのレガシーシステムを継続使用が企業の経済的損失につながるとの意識が国内に広まったとされる。同社のメインフレーム担当者は、ACOSシリーズにおいてデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するための各種取り組みを継続していると強調。「顧客より『ACOSは大丈夫か?』『メインフレーム資産をしっかり守ってほしい』といったお声をいただいており、メインフレームの大切な情報をDXに活用していくハイブリッド利用実現の進化に取り組んでいる」と説明する。
i-PX AKATSUKI/A100シリーズは、この他にもJPCERT コーディネーションセンター推奨のパスワード運用に対応したり、電子機器に影響する太陽フレアなどを考慮した放射線耐性を強化したりするなど、メインフレームに要求される極めて高度な堅牢性を進化させている。
高信頼性での進化