freeeは3月2日、人事労務のクラウドサービス「freee人事労務」の料金プランを一新した。従来は月額基本料金に加えて従業員数に応じた月額料金が発生していたものの、新プランでは月額基本料金を廃止、従業員数に応じた月額利用料金で利用できるようになった。
freee HR事業プロダクトマーケティングマネージャー 和田矩明氏は「(中小企業に対する)働き方改革関連法と“2024年問題”の対応を無理に進めず、(freee人事労務と各種宣伝活動を通じて人事労務担当者の)時間的余裕を作りながら、安心して対応できる支援体制の提供を目指す」とした。
時間外労働割増賃金率は25%から50%に
政府は2019年4月から「働き方改革関連法(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)」を順次施行し、問題視されてきた従業員に対する対応改善を企業にうながしてきた。
2023年は、月60時間を超える時間外労働割増賃金率を25%から50%に引き上げる「改正労働基準法」の適用範囲を中小企業に拡大し、従業員の育児休業や介護休業の取得状況を公表義務とする「改正育児・介護休業法」が4月に施行される予定だ。従業員給与の支払いにデジタルマネーを選択可能にするのも同時期から。
従業員保護の観点からは歓迎すべき法改正だが、中小企業の経営層としては厳しい状況である。医療や建設、運輸を対象にしていた時間外労働の上限規制猶予も2024年3月末に終了する。俗に言う「2024年問題」だ。
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freeeが2月13日から3日間、従業員数1000人以下の企業に所属し、2024年問題に関わる医療や建設、運輸の各業界の労務担当者338人を含んだ976人を対象にした調査によれば、「時間外労働の割増賃金率引き上げ」に対する認知度は74.3%だが、対応状況を尋ねると61.2%が「未対応、不明」と回答した(有効回答数976)。
その理由も「対応の必要性を感じていない」(33.8%)、「対応策を考える時間が確保できない」(30%)、「まだ対応しなくても間に合う」(22.5%)との意見が上位に並んでいる(有効回答数240)。