大抵のスマートフォンメーカーは、頑丈なガラスをアルミニウムの枠で囲った筐体に複数のカメラレンズを搭載し、ケースを付けると持ちにくくなるデザインのスマートフォンを誰もが求めていると思っているかのようだ。「iPhone 14 Pro Max」やサムスンの「Galaxy S23 Ultra」がその代表例だ。
しかし、Motorola製の「ThinkPhone」は、それらとは一線を画している。筆者は、1月のCESで初めてこのモデルがお披露目された際にこの「ThinkPad」に着想を得た端末に触れてみて、好印象を持った。
ThinkPhone
提供:June Wan/ZDNET
ローエンドからミドルレンジの、印象に残りにくい「Moto G」シリーズのスマートフォンを長年販売していたMotorolaだが、このモデルに関しては、再び筆者のような技術マニアでさえ敬服するしかない遊び心の片鱗を見せていた。そして同社は、この新しいThinkPhoneに、マニアとビジネスユーザーの両方が魅力を感じる機能セットを盛り込んだ。では、詳しく説明していこう。
まずこのモデルは、128GBの基本ストレージ(最大512GBまで拡張可能)に、最大12GBのRAM、5000mAhのバッテリー、IP68の防塵・防水性能、50メガピクセルのワイドレンズと13メガピクセルのウルトラワイドレンズで構成されたデュアルカメラといった、フラッグシップのAndroidスマートフォンが標準的に持っている要素を軒並み備えている。
6.6インチのOLEDディスプレイは、144Hzのリフレッシュレートを誇る。
提供:June Wan/ZDNet
もしスマートフォンの名前が隠してあったら、このスペックからどのメーカーのどのモデルかを推測するのは難しそうだと思えるほどの横並びだ。しかしそれは、Motorolaがこのモデルで、サムスンやOnePlus、さらにはGoogleなどと本気で渡り合うつもりであることを示しており、筆者はそれを全面的に支持したい。
残念ながらThinkPhoneの発表は1月だったため、Motorolaは2022年の「Snapdragon 8+ Gen1」のチップセットしか使えず、サムスンの「Galaxy S23」シリーズや「OnePlus 11」などの2023年に発売されたフラッグシップ機に搭載されている、新しくて強力な「Snapdragon 8 Gen 2」は採用できなかった。
米ZDNetが行ったSnapdragon 8 Gen 2のテストの結果を考えれば、Motorolaは、ThinkPhoneの性能を大幅に引き上げる大きなチャンスを逃したのかもしれない。それでもこのモデルは、筆者が普段仕事に使っている「Slack」「Outlook」「Zoom」「Googleスプレッドシート」などのアプリを動かすには十分な性能を持っている。
以下では、スマートフォンを仕事に使うパワーユーザーにとって、ThinkPhoneが夢のモデルである理由を説明していこう。