Dell Technologies(Dell)は2030年の「Moonshot Goal」として、サステナビリティー(持続可能性)などと共に「インクルージョン(包括)文化の醸成」を掲げている。同社は、EMCを買収して現在の体制となる前から、女性起業家の支援を続けている。
現在でも、女性起業家は男性と比べると課題が多いと言われる。Dellで女性起業家ネットワーク「DWEN(Dell Women's Entrepreneur Network)」の活動を支援するグローバルコンシューマーリテール&アウトレットビジネス担当 シニアバイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャーのRosandra Silveira(ロサンドラ・シルベイラ)氏に、女性起業家の現在地と同社の支援について聞いた。
Dell グローバルコンシューマーリテール&アウトレットビジネス担当 シニアバイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャーのRosandra Silveira氏
――Dellは2009年にDWENの活動を開始しました。背後にある狙いと現在の規模について教えてください。
DWENのメンバーは現在、約8万7000人に達しており、このうち日本からは約800人が参加しています。DellがDWENを進める理由は複数ありますが、大きなものとして「女性起業家のネットワークがなかった」ということがあります。「起業」という共通のテーマを持つ女性たちにネットワークを提供し、助け合い、お互いのメンターとなる環境をもたらすことは一つの支援になると考えました。
当社はダイバーシティーとインクルージョンを真剣に捉えており、女性従業員の成長と活躍を支援する従業員グループ「Women in Action」(WIA)を擁しています。支部は90、メンバーは約2万5000人に上ります。
われわれのパーパスは、人間の進化を加速させること。Moonshot Goalとして、2030年までに従業員全体における女性の比率を50%、つまり男女比を1対1に、女性の管理職を40%にするという目標を掲げています。
――どのような業種が多いのかなど、女性起業家のトレンドについて教えてください。
東京で開催した「デル女性起業家ビジネスコンテスト 2023」では、建築や運送といった分野の女性起業家が受賞しました。前年がフェムテックだったことや、これまで子育て、環境、ファッションに関連したものが多かったことを考えると、“女性ならでは”という特殊性が薄れてきたと感じます。
共通しているのは「社会課題を解決する」という彼女たちの意識です。ある女性は、離婚した友人は仕事探しに苦労しているのに対し、建築業界に勤める自分の夫は人手不足と言っているのを聞き、「両者のマッチングができないか」と簡易に計測や点検ができるソリューションで起業していますし、別の女性はトラック運転手の“働きすぎ問題”を解決しようと起業しています。
また、二代目、三代目として家業を継ぐ女性も増えています。年齢もさまざまで、少し前にIT系の起業が多かった時期は若い起業家が多かったですが、現在は年齢層が広がっています。
このように、「女性起業家」と言ってもバックグラウンドが特殊ということはない――。これが最近のトレンドです。