女性起業家を支援するデル幹部に聞く--「“女性”起業家」と言われなくなる日

末岡洋子

2023-09-12 07:00

 Dell Technologies(Dell)は2030年の「Moonshot Goal」として、サステナビリティー(持続可能性)などと共に「インクルージョン(包括)文化の醸成」を掲げている。同社は、EMCを買収して現在の体制となる前から、女性起業家の支援を続けている。

 現在でも、女性起業家は男性と比べると課題が多いと言われる。Dellで女性起業家ネットワーク「DWEN(Dell Women's Entrepreneur Network)」の活動を支援するグローバルコンシューマーリテール&アウトレットビジネス担当 シニアバイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャーのRosandra Silveira(ロサンドラ・シルベイラ)氏に、女性起業家の現在地と同社の支援について聞いた。

Dell グローバルコンシューマーリテール&アウトレットビジネス担当 シニアバイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャーのRosandra Silveira氏
Dell グローバルコンシューマーリテール&アウトレットビジネス担当 シニアバイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャーのRosandra Silveira氏

――Dellは2009年にDWENの活動を開始しました。背後にある狙いと現在の規模について教えてください。

 DWENのメンバーは現在、約8万7000人に達しており、このうち日本からは約800人が参加しています。DellがDWENを進める理由は複数ありますが、大きなものとして「女性起業家のネットワークがなかった」ということがあります。「起業」という共通のテーマを持つ女性たちにネットワークを提供し、助け合い、お互いのメンターとなる環境をもたらすことは一つの支援になると考えました。

 当社はダイバーシティーとインクルージョンを真剣に捉えており、女性従業員の成長と活躍を支援する従業員グループ「Women in Action」(WIA)を擁しています。支部は90、メンバーは約2万5000人に上ります。

 われわれのパーパスは、人間の進化を加速させること。Moonshot Goalとして、2030年までに従業員全体における女性の比率を50%、つまり男女比を1対1に、女性の管理職を40%にするという目標を掲げています。

――どのような業種が多いのかなど、女性起業家のトレンドについて教えてください。

 東京で開催した「デル女性起業家ビジネスコンテスト 2023」では、建築や運送といった分野の女性起業家が受賞しました。前年がフェムテックだったことや、これまで子育て、環境、ファッションに関連したものが多かったことを考えると、“女性ならでは”という特殊性が薄れてきたと感じます。

 共通しているのは「社会課題を解決する」という彼女たちの意識です。ある女性は、離婚した友人は仕事探しに苦労しているのに対し、建築業界に勤める自分の夫は人手不足と言っているのを聞き、「両者のマッチングができないか」と簡易に計測や点検ができるソリューションで起業していますし、別の女性はトラック運転手の“働きすぎ問題”を解決しようと起業しています。

 また、二代目、三代目として家業を継ぐ女性も増えています。年齢もさまざまで、少し前にIT系の起業が多かった時期は若い起業家が多かったですが、現在は年齢層が広がっています。

 このように、「女性起業家」と言ってもバックグラウンドが特殊ということはない――。これが最近のトレンドです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]