IT関連の仕事(開発、エンジニアリング、管理、サポート業務など)は、世界で人気のある仕事の1つだと考えられているが、その一方で、これらはバーンアウトして燃え尽き症候群に陥る人が後を絶たない仕事でもある。IT人材向けキャリアサイトのDiceが最近発表したレポートによれば、その主な原因は、仕事が多すぎること、労働時間が長すぎること、貢献を認知してもらえないこと、新しい挑戦がないことなどだという。
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最初の2つの要因である、多すぎる仕事や長すぎる労働時間について詳しく見ていこう。もちろんその原因は、IT専門家があまりにも多くの仕事を求められていることにもあるのだが、何よりも業務の妨げになっているのは、対応が必要な不具合や、障害や、セキュリティ侵害などのインシデントが多過ぎることだ。
システムに不具合が生じると、エンドユーザーや顧客はイライラし、誰もシステムの面倒を見ていないのではないかと疑う。だがもちろん、IT部門はシステムの面倒を見ている。そして、発生した問題に対応している彼ら自身も、同じようにイライラしている。
同時に、企業の経営陣もイライラしているはずだ。インシデントによって生じているコストは非常に大きい。Constellation Researchが最近発表した調査レポートによれば、大企業の中には、インシデントによって年間1億ドル(約150億円)以上の損害を受けている企業も少なくないという。レポートの著者であるConstellation ResearchのAndy Thurai氏は、「さらに驚くべきことは、これらのインシデントの49%は単純なもので、しかも繰り返し発生しており、自動化によって防げるということだ」と述べている。
調査に回答した317人のIT管理者のうち半数以上(57%)は、発生しているインシデントの量が対応できる範囲を超えていると答えていた。「これは警戒すべき事態だ。インシデントの件数は増加の一途を辿っており、インシデント対応チームはすでに手一杯の状態になっている」とThurai氏は言う。「繰り返し起こる、実りの少ない手作業のインシデント対応は、従業員の消耗につながる。実際、多くのインシデント対応担当者は、消耗の最大の原因としてこれを挙げている」
組織的な支援がないことや、IT部門の貢献が評価されていないことも問題になっている。「経営陣は、重大なインシデントや、チームが払っている労力、チームのバーンアウトの状況、インシデント対応のコストを把握できていない」とThurai氏は考えている。「古いやり方を続けていると、アラートの数が多すぎて、アラート疲れが起きてしまう」
市場には、自動化を支援し、この問題を軽減する頼れるツールやプラットフォームも出回っているものの、クラウドやアナリティクス、分散システムの広がりが早く、インシデント対応は複雑さを増すばかりだ。レポートでは、「大小のインシデントが予想以上の頻度で発生」しており、「現在のインシデントへの対応方法は破綻している」と述べている。