ガートナージャパンは10月12日、「生成AIのハイプ・サイクル:2023年」を発表した。生成AIのAPIやモデルを使用して生成AIに対応したアプリケーションを本稼働環境に展開する企業の割合が、2023年の5%未満から2026年には80%以上へ急増すると予想している。
米Gartner ディスティングイッシュト バイス プレジデントのArun Chandrasekaran氏は、生成AIが企業経営層の最優先課題になっていると指摘し、医療やライフサイエンス、法律、金融サービス、公的機関など多くの業界で生成AI需要が増大しているとした。
また、ガートナージャパン ディスティングイッシュト バイス プレジデント アナリストの亦賀忠明氏は、「これから生成AIがさまざまなところに溶け込み、存在することが当たり前になる。生成AIは、インターネットと同様かそれ以上の進化をもたらし、企業のビジネススタイルや人々のライフスタイルを変えるだろう。現在の生成AIはまだ初期段階で、2030年に向けAIエージェント、汎用人工知能(AGI)、超知性(スーパーインテリジェンス)への進化が予想される」と解説している。
今回発表した生成AIのハイプ・サイクルでは、生成AIに関する全ての技術などが「過度な期待のピーク」期に位置付けられた。同社のハイプ・サイクルでは、市場の熱気がいったん冷める「幻滅期」を経て本格的な普及に至る「啓発期」「生産性の安定期」を設定しており、本当の意味での生成AIの普及は今後になると見られる。
生成AIのハイプ・サイクル:2023年、出典:Gartner
併せて同社は、今後10年以内に企業や組織に大きな影響を与えるとする生成AI関連の以下の3つの技術も提示した。
生成AI対応アプリケーション
ユーザー体験(UX)とタスク拡張のために生成AIを使用し、ユーザーが目指す成果の達成を加速および支援するもの。アプリケーションの生成AI対応が進むにつれ、従業員のスキルセットの幅が広がる。
ファウンデーションモデル
大規模な事前にトレーニングされたモデルのこと。幅広いユースケースに適用可能で、従業員の生産性向上、顧客体験の自動化と強化、コスト効率に優れた方法での新プロダクト/サービスの創出を可能にし、DXを促進する。
AI TRiSM(AIのトラスト/リスク/セキュリティマネジメント)
AIモデルのガバナンス、信頼性(トラスト)、公平性、確実性、堅牢性、有効性、データ保護を確保するフレームワーク。AI TRiSMには、モデルの解釈可能性と説明可能性、データとコンテンツの異常検知、AIデータ保護、モデル運用、攻撃に対する敵対的抵抗のためのソリューション、テクニック、プロセスが含まれる。