東武鉄道は、機械学習と外部データで特急券の需要予測を実証し、通常より600人以上の利用増につながる成果を確認した。2024年5月に本番導入する予定だという。実証に協力したDATAFLUCTが発表した。
東武鉄道は、私鉄として国内第2位、関東では最大の路線網を持ち、東京と栃木県の日光や鬼怒川温泉などの観光地を結ぶ「スペーシアX」などの特急列車を多数運行している。繁忙期には満席になることが多く、運行本数や車両を増やして輸送力を増強できるものの、過去の実績や担当者の推計による運行計画だけでは需要と供給にギャップが生じるケースがあるという。
このため、より精度の高い需要を予測できるようDATAFLUCTが提供する「Perswell」を用い、6~9月に最大14週間後の特急券需要を30分単位で予測する実証実験を行った。実証では、特急券の発売数などのデータと、気象や新型コロナウイルス感染症の重症者数、地域イベントなどの外部データを組み合わせ、機械学習で2~14週間後の特急利用者の潜在需要数を30分単位で予測した。
予測フロー(出典:DATAFLUCT)
その結果、1日当たり50~60本の特急列車の需要について、増便などの判断に実用的に利用できる精度の予測結果を得たとする。通常3両編成で運行する特急列車では、2倍の6両編成にして運行することで、通常より600人以上多くの利用者を輸送することができたという。
東武鉄道は、今回の実証成果を踏まえて2024年5月に予測システムを本番導入する予定とし、現在開発を進める。スペーシアXを含む列車の運行計画での活用を目指すとしている。