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「2024年は成長に向けたブレイクスルーを見出す年に」--日鉄ソリューションズ社長の決意

聞き手・文=松岡功

2024-01-18 06:00

 システムインテグレーター(SIer)大手の日鉄ソリューションズ(NSSOL)が堅調な業績を受け、次なるステップへ踏み出す構えだ。そんな同社の経営の舵取りを2023年4月から担う代表取締役社長の玉置(たまおき)和彦氏に「2023年の総括と2024年の方針」について聞いた。

日鉄ソリューションズ 代表取締役社長の玉置和彦氏
日鉄ソリューションズ 代表取締役社長の玉置和彦氏

中期事業方針1年前倒しで「2030ビジョン」へ

 「2024年は成長に向けたブレイクスルーを見出す年にしたい」――この発言は、玉置氏が今回のインタビュー取材で2024年に向けた大方針として打ち出したものだ。どういうことか。同氏の話からひも解いていこう。

 まず、2023年4月の社長就任(関連記事)から最初の年となった2023年の手応えについては、「ITサービス市場が堅調に推移する中で、当社の業績も着実に伸ばすことができた。また、コロナ禍が明けたことから、私自身もお客さまをはじめ社内外の多くの方々とお会いして話す機会に恵まれた。直接お会いすると、やはり意思もしっかり伝わると改めて感じた」とのこと。そうした流れで、2024年はどのような方針なのか。玉置氏は同社が現在進めている中期事業方針(2021~2025年度)を踏まえて次のように答えた。

 「当社では2025年度(2026年3月期)に向けた中期事業方針として、デジタル製造業、プラットフォーマー支援、デジタルワークプレイスソリューション、ITアウトソーシングの4領域に注力し、連結売上高成長率を年率5~6%、注力領域売上高成長率を同10%以上という目標を掲げているが、それが2023年度までの累計でそれぞれ6.6%、12.7%と上回る見通しで推移している。そこで、現在進めている中期事業方針の達成を1年前倒して2024年度を最終年度とし、2025年度から2030年度に向けた次期中長期経営ビジョン『2030ビジョン』を2024年度に策定していくことで準備に着手した。その意味で、2024年は当社にとって重要な節目の年となる」(図1)

図1:中期事業方針の進捗(出典:日鉄ソリューションズ)
図1:中期事業方針の進捗(出典:日鉄ソリューションズ)

 この発言内容について、改めて2つ質問をした。1つは、中期事業方針を1年前倒しできるくらい事業が堅調な理由はどこにあるのかだ。これに対し、玉置氏は次のように答えた。

 「当社として数多くご支援している基幹業務システムの刷新の動きが活発になってきたことが挙げられる。しかも企業全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みと連動したケースが多く、こうした動きにおける潜在需要は相当大きいと感じている」

 潜在需要の感触は、同氏が言うように企業の基幹業務システムを数多く手掛けている同社ならではのものだろう。

 もう1つの質問は、「2030ビジョン」の柱は何か。玉置氏は「これからまとめていく」としながらも自身の今の考えを次のように述べた。

 「考え方として2つある。1つは、生成AIをはじめとした技術革新をシステム開発手法にどんどん取り入れていくことだ。SIerがお客さまから最も求められているのは、どんなシステムニーズに対してもスピーディーに対応することだ。そのための技術が今どんどん出てきている。それらを駆使してお客さまが求めるシステムを素早くお届けするのがSIerの仕事だ。私はこれを『SIの高度化』と言っている」

 「もう1つは、当社の『技術力や業務知見のアセット化』を図り、お客さまに新たな価値を提供していくことだ。お客さまの要望に応じて、これまでスクラッチで時間をかけてきたシステム開発の手法を、サービスやフレームワーク、プラットフォームといったアセットとして整備することで効率よく迅速に進めていけるようにする。また、そうすることでIT人材の枯渇を補完し、お客さまのIT部門の持続的な強化に貢献していきたい」

 同氏が挙げた「SIの高度化」と「技術力や業務知見のアセット化」は、顧客ニーズに対する表裏一体の取り組みと見て取れる。そして、こうした取り組みによって「より高付加価値なビジネスモデルへの転換を図っていきたい」(玉置氏)というのが、NSSOLの2030年に向けた大きな方針だ(図2)。

図2:「2030ビジョン」の方向性(出典:日鉄ソリューションズ)
図2:「2030ビジョン」の方向性(出典:日鉄ソリューションズ)

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