海外コメンタリー

AI成功の鍵は適切なユースケースを見つけること--Toyota Motor Europeの取り組み

Mark Samuels (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2024-02-02 06:30

 世間では人工知能(AI)が持つ「状況を一変させる力」がもてはやされているが、多くの専門家は、新たな技術を最大限に活かすためには、ある1つのことが極めて重要だと口を揃えて述べている。それは、「適切なビジネスユースケースを見つけること」だ。

広々としたホール
提供:real444/Getty Images

 Toyota Motor Europeのデータおよびアナリティクス戦略担当シニアマネージャーを務めるThierry Martin氏は、米ZDNETが個別に行ったビデオインタビューで、同社が、AIの可能性を模索するための研究開発に、どれだけの時間とリソースを投じているかについて語った。

 ただしその取り組みはまだ準備段階であり、現在のユースケースに焦点を絞ったものだという。つまり、予測や自動化よりもデータサイエンスに重点が置かれているということだ。

 「私たちにとっては、データの分析の方がはるかに重要性が高い」とMartin氏は言う。「例えば、ユーザーが当社の車をどんな風に運転しているのか。国によって違いはあるのか。あるいは、ドイツとベルギーのハイウェイ走行では違いがあるのかといったことを調べている」

 データサイエンスやデータ分析によって深い知見が得られるかどうかはデータ収集にかかっているが、それは同社が得意としている分野の1つだ。

 「すでに、ユーザーが私たちの車をどのように使っているかについて、多くの分析情報を得られるようになっている」と同氏は述べた。「私たちは予測モデルも使っており、例えば根本原因分析を行ったり、どんな種類のアクセサリーを取り付けるべきかを予測して計画立案に役立てたりしている」

 今のところ同社は、「Power BI」のなどのツールを使って、人間を中心に据えつつ、アナリティクスによって自動車事業の運営や業務プロセスについて理解することに重きを置いているという。

 「私たちは、人間の代わりにAIに意思決定をさせるつもりはない」と同氏は言う。「私たちがAIに求めているのはどちらかと言えば分析情報であり、それが今の現状だ」

 しかしMartin氏は、同社がそう遠くない未来に業務でAIを利用し始める状況を想定しており、事業部門の業務プロセスに合った適切なユースケースを見つけるための検討を始めている。

 「その需要はかなり大きい」と同氏は言う。「実際、テキストデータの分析や生成AIに関するユースケースは非常に多く、2022年の『ChatGPT』モデルのリリースによってそれが可能になった」

 生成AIは、OpenAIの大規模言語モデルによってメジャーな存在になったが、トヨタをはじめとする多くの大企業は、新技術の導入に関しては慎重に物事を進めている。

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