日本オラクルは3月5日、自律型データベース(DB)「Oracle Autonomous Database」の新たなオファリングとしてフルマネージドの分散DBサービス「Oracle Globally Distributed Autonomous Database」の提供を開始したと発表した。「Oracle Database」の分散DB機能とAutonomous Databaseの自律機能を組み合わせることで、複雑な運用の簡素化とコストの軽減を支援する。
Oracleでハイアベイラビリティーテクノロジー開発担当シニアバイスプレジデントのWei Hu氏によると、分散DBは高い拡張性や可用性、データ主権の確保を可能にする一方で、複数の拠点に多数のサーバーの導入を伴うため、導入と管理が困難になりがちだという。
Globally Distributed Autonomous Databaseでは、分散DBを単一の論理DBとして管理し、自動化されたプロビジョニング、チューニング、スケーリング、パッチ適用、セキュリティ機能を活用することで、時間のかかる手作業や潜在的なエラーを回避することができる。
Globally Distributed Autonomous Databaseは、データ分散手法の一つであるシャーディング技術を基盤に構築されている。これにより「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」の可用性ドメインやリージョン全体にデータを自動的に分散して格納することができる。幅広いデータ型、ワークロード、プログラミング形式に対応し、既存のSQLアプリケーションを書き換えずに使用することができるという。
Hu氏は、主な想定用途として「高い拡張性と可用性の実現」と「データ主権要件への対応」の2つを挙げる。
同氏はさらに、「Autonomous Database Select AI」などの新しいツールもGlobally Distributed Databasesで利用可能であると説明した。Select AIは、大規模言語モデル(LLM)を使用して、会話スレッドの自然言語の質問をSQLクエリーに変換するものになる。
また、「Oracle Database 23c」で導入されたRaftレプリケーションによってデータを損失することなく、3秒以下の自動フェイルオーバーを可能にするという。検索拡張生成(RAG)を統合した「AI Vector Search」の提供も予定している。
Select AIの利用イメージ