海外コメンタリー

ITスペシャリストの未来像--業務とAIを融合させるメカニックに

Joe McKendrick (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2024-03-22 10:45

 人工知能(AI)と機械学習(ML)は同時期に興隆し始め、今やIT部門やITの専門家という枠を大きく超えて利用されるようになっている。そしてその未来を担うのは、AIが業務全体の発展をどのように支えていくかを把握し、理解する、技術部門と業務部門双方のプロフェッショナルたちだ。


提供:Monty Rakusen/Getty Images

 つまり、テクノロジストは業務リーダーになる必要があり、業務リーダーはテクノロジストになる必要がある。

 これは、Tata Consultancy Services(TCS)が最近発表した調査レポート「Working Towards the Future:AI optimism and the future of how we work」(未来を見据えた仕事:AIに関する楽観的な見方と、仕事の未来)で語られている内容だ。同レポートは、世界各地の著名なフューチャリストを対象に調査を実施し、その知見をまとめたものだ。

 TCSのフューチャリストであり、同レポートの共同執筆者でもあるAlexandra Whittington氏は、「AIによって最終的に、テクノロジープロフェッショナルは業務の言葉で語るようになり、逆に業務担当者はテクノロジープロフェッショナルの言葉で語るようになっていくだろう」と予測している。また同氏は、「以前にはテクノロジー関連のスキルしか有していなかった」テクノロジープロフェッショナルが、「将来的には効率的に作業を進めるために、人事関係から法務関係に至るまでの他の業務機能の基本を理解しなければならないと感じるようになるだろう」とも述べている。

 (注記:同レポートの共同執筆者らは、「TCSのフューチャリストたちによる厳密な監査と協力の下で」、生成型AIを用いて調査の分析と草稿の作成を実施した。)

 TCSでAI.Cloudアドバイザリーのグローバル責任者を務めるAshok Krish氏は同レポートで、未来のテクノロジーキャリアは「分野をまたがる知識とそれらの統合に力点をおいたものになる。このためプロフェッショナルは一連のテクノロジーを全体的なものとして俯瞰(ふかん)し、それぞれをつなぎ合わせる方法を理解しておく必要がある。これは自動車のメカニック(整備士)になぞらえることができる。メカニックは自動車の部品それぞれについての専門家ではないが、最適なかたちで機能させるにはどのように部品を組み合わせればよいのかを熟知している」と述べている。

 AIを活用したソリューションを紡ぎ出すテクノロジー/ビジネスパーソンは要するに「未来のメカニック」だという点についてはWhittington氏も同意している。その上で同氏は、「(組織はAIの普及とともに)テクノロジーへのアクセスを民主化していくが、人間系による監督と戦略遂行の必要性はそのまま残るだろう。その結果、こうした未来のメカニックには、基盤となるテクノロジーがビジネス全体をどのようにサポートできるのか、そして異なるプラットフォームやシステムをどのように連携させるのかといったことを理解し、押さえておく専門的能力が求められるようになる」と述べている。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    「2024年版脅威ハンティングレポート」より—アジアでサイバー攻撃の標的になりやすい業界とは?

  4. セキュリティ

    生成AIを利用した標的型攻撃とはどのようなものなのか?実態を明らかにして効果的な対策を考える

  5. ビジネスアプリケーション

    Microsoft 365で全てを完結しない選択、サイボウズが提示するGaroonとの連携による効果

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]