人工知能(AI)と機械学習(ML)は同時期に興隆し始め、今やIT部門やITの専門家という枠を大きく超えて利用されるようになっている。そしてその未来を担うのは、AIが業務全体の発展をどのように支えていくかを把握し、理解する、技術部門と業務部門双方のプロフェッショナルたちだ。
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つまり、テクノロジストは業務リーダーになる必要があり、業務リーダーはテクノロジストになる必要がある。
これは、Tata Consultancy Services(TCS)が最近発表した調査レポート「Working Towards the Future:AI optimism and the future of how we work」(未来を見据えた仕事:AIに関する楽観的な見方と、仕事の未来)で語られている内容だ。同レポートは、世界各地の著名なフューチャリストを対象に調査を実施し、その知見をまとめたものだ。
TCSのフューチャリストであり、同レポートの共同執筆者でもあるAlexandra Whittington氏は、「AIによって最終的に、テクノロジープロフェッショナルは業務の言葉で語るようになり、逆に業務担当者はテクノロジープロフェッショナルの言葉で語るようになっていくだろう」と予測している。また同氏は、「以前にはテクノロジー関連のスキルしか有していなかった」テクノロジープロフェッショナルが、「将来的には効率的に作業を進めるために、人事関係から法務関係に至るまでの他の業務機能の基本を理解しなければならないと感じるようになるだろう」とも述べている。
(注記:同レポートの共同執筆者らは、「TCSのフューチャリストたちによる厳密な監査と協力の下で」、生成型AIを用いて調査の分析と草稿の作成を実施した。)
TCSでAI.Cloudアドバイザリーのグローバル責任者を務めるAshok Krish氏は同レポートで、未来のテクノロジーキャリアは「分野をまたがる知識とそれらの統合に力点をおいたものになる。このためプロフェッショナルは一連のテクノロジーを全体的なものとして俯瞰(ふかん)し、それぞれをつなぎ合わせる方法を理解しておく必要がある。これは自動車のメカニック(整備士)になぞらえることができる。メカニックは自動車の部品それぞれについての専門家ではないが、最適なかたちで機能させるにはどのように部品を組み合わせればよいのかを熟知している」と述べている。
AIを活用したソリューションを紡ぎ出すテクノロジー/ビジネスパーソンは要するに「未来のメカニック」だという点についてはWhittington氏も同意している。その上で同氏は、「(組織はAIの普及とともに)テクノロジーへのアクセスを民主化していくが、人間系による監督と戦略遂行の必要性はそのまま残るだろう。その結果、こうした未来のメカニックには、基盤となるテクノロジーがビジネス全体をどのようにサポートできるのか、そして異なるプラットフォームやシステムをどのように連携させるのかといったことを理解し、押さえておく専門的能力が求められるようになる」と述べている。