人工知能(AI)に業界全体を塗り替える可能性があると固く信じるテック企業のトップは増える一方だが、このたび、Amazonの最高経営責任者(CEO)を務めるAndy Jassy氏も、その一員に加わった。米国時間4月11日、毎年恒例の株主宛ての書簡で、同氏は、AIがAmazonの事業にとって不可欠な存在になっており、今後数年間にわたってその価値は高まる一方だとの見方を示している。同氏はそれだけなく、AIは長年われわれが目にしてきた中でも、単一の技術革新としては最も重要なものだとまで主張した。
Jassy氏は本年の書簡にこう書いている。「生成AIは、クラウド(これ自体がまだ初期段階だが)以来の、そしておそらくはインターネット以来の、最大の技術変革となる可能性がある。オンプレミスインフラからクラウドへの大規模なモダン化では、移行の際に作業が必要となる。一方、この(生成)AI革命ではこれと違い、最初からクラウドの上に構築される。今後可能になる、ソリューションが社会とビジネスにもたらすメリットは、誰もが仰天するほどの規模になるはずだ」
当然ながら、Jassy氏の書簡はAmazonがAIを活用していかに自社の事業を拡大させていくかという点を主眼としていた。同氏は、Amazonが同社のアプリケーションや製品のほとんどに生成AIを組み込みつつあり、同社のバーチャルパーソナルアシスタント「Alexa」は今後もさらに賢くなるだろうとの見方を示した。AIを活用した同社の新ショッピング用アシスタント「Rufus」も、今後は同社の事業推進に重要な役割を果たすことになるだろう。
株主に宛てたJassy氏の年次書簡は、テック企業のCEOが発信するなかでも比較的重要な書簡の1つだ。Amazonの事業計画や、今後数年の間に同社が競争を生き抜いていくための戦術といった話題に加えて、書簡は、世界最大クラスのテック企業の最新の技術動向に対する見方にも光を当てるものだ。加えて非常に重要なのは、今後数年間のうちに消費者が目にするであろうものについて、ヒントを与える点だ。
そうした面では、Jassy氏は明確に強気な姿勢を示し、AmazonがAI活用などの効率性を向上させる手段を通じて費用負担を軽減し、より質が高く、もっと手頃でよりスピーディーな顧客体験を生み出すことが可能だと確信している、と述べている。「当社のフルフィルメントネットワークにおいてかたくなに信じられてきた、これまでの鉄則すべてを精査し、そのあらゆる部分について評価をやり直した。その結果、さらに費用を削減しつつ、顧客への配達をさらに高速化できると考えられる分野が、複数見つかった」とJassy氏は書いている。
当然ながら、2024年の書簡で何よりも注目されるのは、AIに関するJassy氏の強気な言葉だ。ほとんどの企業にとってAIが変革をもたらすものであるのは周知の事実だが、どこまで抜本的な変革になる可能性があるのかをめぐっては、業界内でいまだに意見が分かれている。AIをクラウド、さらにはインターネットと比べていることから、AmazonとJassy氏がAIを現行技術の漸進的な改良ではなく、すべてのものを変えうる画期的な技術とみなしていることがうかがえる。
Amazonのスマートスピーカー、第4世代の「Echo Dot」は、同社の無線通信規格「Amazon Sidewalk」のブリッジとして機能する。
提供:Maria Diaz/ZDNET
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。