Metaが、競争が激しい人工知能(AI)分野での取り組みを強化し、2種類の「Llama 3」モデルをリリースするとともに、自社プラットフォームのすべてで「Meta AI」を利用可能にする方針を明かした。
Metaは米国時間4月18日、2つの小規模なLlama 3モデルを発表した。これは2024年内に予定されている、Llama 3のメジャーリリースに先立つものだ。4月9日の時点で、リリースが近いとMetaが述べていたこのオープンソースモデルは、Meta AIアシスタントへの統合が進められており、今後開発者向けに提供される予定だ。
MetaはThe Vergeに対し、2023年の「Llama 2」では2兆トークンだったのに比べて、Llama 3は15兆トークン(テキストデータの基本単位)でトレーニングされていると語っている。18日にリリースされた2モデルのうちでもより大型のモデルは、700億のパラメーター(結果の調整に用いる変数)を持つ。
これは、Llama 2と比べて大幅なAIの性能向上につながるはずだ。また、Llama 3の最終ビルドは現在の市場でも最も高度なAIオプションになる可能性があると、Metaでは主張している。小規模なモデルでも、Metaはマルチステッププロセスでの性能向上と複雑なクエリでの性能強化をうたってきた。
AnthropicやOpenAIが提供する競合サービスと比べると見劣りするとして、Llama 2の性能に不満を述べてきた開発者にとって、これは朗報だろう。Reutersとのインタビューで、Metaはそうした問題を認め、「質の高いデータ」に加えてAIによって生成されたデータを用いて、問題の領域に取り組むことによって対処すると語っていた。
それでも、今後予定されるLlama 3のメジャーリリースは、開発者、そしてMeta自体にとっても、最も重要なものになる可能性がある。同社は最終版のLlama 3についてこれまで多くを明かしてこなかったが、今回、現在もまだデータを使ったトレーニング中で、完了時には4000億のパラメーターを持つことになることを明らかにした。これはLlama 2の5倍以上になる数字だ。そして今回リリースされた小規模なLlama 3モデルと異なり、最終ビルドはマルチモーダルで、テキストと画像の両方を生成できるようになる。
利用範囲が拡大されたMeta AI
Metaは2023年、OpenAIの「ChatGPT-4」に似た無料のAIツールのMeta AIをリリースしたが、このツールは試用版の域を出なかった。
18日のLlama 3に関する発表に加えて、同社はMeta AIに本腰を入れつつあると述べた。一例を挙げると、Meta AIは今後、独立したサイトで提供され、ここではユーザーが無料でクエリを入力できるようにある。さらにMetaでは、「Facebook」や「Instagram」、「Messenger」、「WhatsApp」の検索ボックスにMeta AIを組み入れる取り組みを進めており、今後はニュースフィードに取り入れていくと、18日にMetaは明かした。また、Meta AIの提供地域も拡大する予定で、オーストラリア、カナダ、ジャマイカ、ナイジェリア、ジンバブエなどの国々で使えるようになる見込みだ。
そしておそらく何より重要なのは、Meta AIのエンジンとしてLlama 3が採用される点だ。これにより、タスク処理やクエリへの回答、ウェブからの回答抽出の効率がかなり上がるはずだ。Meta AIの画像生成機能「Imagine」もアップデートされ、画像の生成スピードがアップする。
Llama 3とMeta AIのアップデートはいずれもすでに提供されている。Metaによると、Llama 3の追加モデルは今後ある程度の時間をかけて展開し、その最終型が数カ月以内に予定されているLlama 3のメジャーリリースになるという。
提供:Bloomberg/Getty Images
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。