秋田県立秋田中央高等学校は、非認知能力を評価する「Ai GROW」を有償導入した。同サービスを提供するInstitution for a Global Society(IGS)が6月7日に発表した。
Ai GROWは、学力テストで測ることが難しい課題解決力などの非認知能力を測定できる。2019年4月のリリース以降、国内外の小学校・中学校・高等学校の350校以上が導入しているという。
同サービスは、生徒の自己評価に加えて、生徒同士が評価する「相互評価」を取り入れている。さらに、人が人を評価する上で生じやすい忖度(そんたく)などの不要な評価の偏りをAIが補正し、25種類に上る能力を公正に可視化できるとしている。
評価イメージ
秋田中央高校は、文部科学省が定めるスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されている。SSHは、先進的な理数系教育や文理融合領域に関する研究開発を行う高校を指定し、原則5年間支援するもの。
同校は、「探究する学校づくり」に向けてSSHの対象を全生徒とし、全教科にわたって生徒が課題意識を持ちながら、社会課題の発見や解消に向けた取り組みを行っている。この取り組みを通して、生徒の「課題発見能力」「課題探究能力」「多様な発信力」の育成を図っている。
非認知能力は、正解を問う従来の学力テストに比べて評価基準が曖昧になりやすく、多様な能力を含むため測定が難しいとされてきた。そのため、教育現場でも教員が各生徒の能力を正確に把握することの負荷が高いと課題になっているという。
同校でもSSH教育の効果を検証するために、非認知能力の能力測定を客観的に行う方法を模索。Ai GROWを導入する前は、生徒や職員へのアンケート調査・分析や、他社の外部指標を活用していたが、客観性や運用面での使いづらさがあったという。
そこで、Ai GROWをトライアル導入し、課題解決の実感を得たことで、今回の有償導入につながった。秋田中央高校 SSH事業主担当の伊藤英教諭は、補助金を活用して1年を通してAi GROWを利用したところ、SSH事業の前と後で生徒の変化を捉えることができたという。「これにより、各事業のより客観的な評価ができるようになった。また、個々の生徒のさまざまな能力の伸長の様子をより詳細に把握できるようになった」と述べている。
教員向け画面。生徒の能力成長がスコアとグラフで直感的に分かる