本記事の要点
- 「deepin V23 RC」は現在提供中で、無料でテストできる。
- この最新のdeepin Linuxデスクトップは、外観が「Windows 11」に非常によく似ており、必要なソフトウェアがすべて含まれている(独自のAIアプリも搭載)。
- OSは安定しているが、アプリにはまだ多少の問題がある(誤った言語の表示やAI機能の不具合など)。
筆者は「Windows」を好きになったことが一度もない。同OSのどのバージョンにも魅力を感じることがなかった。しかし、多くの人に好まれる理由は理解している。デスクトップは従来のインターフェースとそれほど違いがなく、予測がつきやすいし、見た目は悪くない。
だが、日常の使用を妨げる他の「要素」が数多くある。「Start」メニューの広告(無効にすることはできる)、気が遠くなるほどのシステム要件、すべてのWindowsアカウントがクラウドに移行されるという懸念などだ。このような問題が気がかりな人には、最新の「deepin Linux」リリースを紹介したい。期待しすぎないように先に言っておくが、これはリリース候補(RC)版だ。したがって、一般リリースの段階には達していない。RC版は次期バージョンの機能が分かる良い指標となるため、それで構わないが。
筆者は早速、deepinのRC版を入手して、何がどうなっているか確かめてみた。驚いたことに、このオープンソースOSは「Windows 11」に似せる方向にゆっくりと進んでいる。それが悪いことだとは言わないが、考慮すべき事項であることは確かだ。
筆者に言わせれば、かつて「最も美しいLinuxデスクトップ」だったdeepinが、かなり平均的な外観になってしまった。もはや本当に特別なことは何もしていない(MicrosoftのOSのルックアンドフィールを再現すること以外は)。しかし、先述のように、それは必ずしも悪いことではない。Windows 11のルックアンドフィールが好きな人にとっては、特にそうだろう。
もちろん、Linuxなので、デスクトップを自分のニーズに合わせていつでも微調整できる。たとえば、ドックを右、左、上に移動できるし、左揃え、右揃え、中央揃えや、スマートな非表示、不透明度の変更、アイコンのサイズ変更が可能だ。筆者としては、サイズを変更して従来のドックのような外観にできないことが、唯一残念だった。deepinのドックはパネルであり、それ以外の何物でもない。
RC版では、ドックの表示位置の左/右/上がグレー表示されていることに気づいた。なぜそうなっているのか、まだ考えているところだ。
deepinデスクトップを使うときに、よく間違えてしまう操作がある。その1つが、メニューを開こうとして、デスクトップの左下にカーソルを動かしてしまうことだ。何の話か分かるだろうか。そこにメニューボタンはない。先述のとおり、Windows 11に非常に似ているので、メニューボタンは、ドック中央のランチャーセクションの左端のアイコンだ。画面左下のアイコンはクリップボードだ(筆者が使い慣れた環境ではシステムトレイにある)。deepinがこのような配置にした理由は分かるが、その選択は理解しがたい。
とはいえ、それによってdeepinの性能が損なわれるわけではない。スムーズに動作し、パフォーマンスは良好で、非常に安定性が高い(RC版にしては特に)。確かに、多少の問題はあったが(たとえば「Browser」という単純な名称のデフォルトウェブブラウザーは、OSのデフォルト言語が英語に設定されていても、デフォルトで中国語になる)、全体的に見ると、筆者はdeepinのRC版に感銘を受けた。
deepin V23の新機能
新しい機能や改善された機能という点では、思ったほど網羅的なリストではないだろう。主な新機能は以下のとおりだ。
- システムをバックアップせずにシステムアップデートを実行する新しい「Backup Update」トグル(注意して使用してほしい)
- 新しいシステムフォント
- 独自の「nvidia-graphics-drivers」パッケージのアップデート
- ビデオデコードの互換性により、複数のビデオストリームと複数の解像度での動画再生に対応
- /boot/パーティションがカーネルスナップショットからのバックアップを大量に保存しないように最適化
- トライアルモードのインストーラーの最適化