Wasabi Technologies(Wasabi)の日本法人Wasabi Technologies Japanは9月12日、日本における事業戦略を説明した。
脇本亜紀氏
Wasabi Technologiesは現在、世界100カ国以上でビジネスを展開し、顧客数が8万社、パートナー数も1万5000社を超える。全世界に14のストレージリージョンを持ち、管理下にあるストレージ容量は数エクサバイトに上る。売り上げは対前年比60%以上の成長を遂げており、現在までの資金調達額は5億3400万ドルとWasabi Technologies Japanで取締役社長を務める脇本亜紀氏はアピールする。
クラウド型オブジェクトストレージを提供する同社は、ハイパースケーラーと呼ばれる大手クラウドプロバイダーと比較して80%以下の利用料、下り転送料金不要、APIリクエスト料金不要という「低価格」、競合他社より高速で迅速なアップ/ダウンロードが可能な閉域網を提供する「性能」、データセンターの冗長化、11x9sの安全性、イミュータブル(不変)ストレージという「安全性」が特徴。14のストレージリージョンのうち2つが日本(東京と大阪)にあるのは、日本市場を重要視している表れだと脇本氏。
企業の情報システム部門で注目されている主なユースケースとしては、「バックアップ&リカバリー」「アクティブアーカイブ」「クラウドティアリング」がある。
ランサムウェア対策として、バックアップをイミュータブルな状態で保持することが有効との認知が広がっていることから、バックアップ&リカバリーのユースケースが中堅中小企業からエンタープライズ顧客まで幅広く採用されているという。データを必要なときにはすぐに使えるようにするアクティブアーカイブでは、データに無償でアクセスできるという特徴が注目されている。
オンプレミス環境のストレージの拡張先として同社のクラウドストレージを利用するクラウドティアリングも採用が多くなっているという。ファイルサーバーとしてNetAppをオンプレミスで利用している顧客が30日以内にアクセスされなかったデータを自動的にWasabiに転送するよう設定したところ、85%のデータがWasabiに格納され、オンプレミスのストレージ台数を削減できたという。
また、メディア・エンターテインメント顧客での事例としては、メディア編集ツールなどとの統合によるコンテンツリポジトリーとしての利用や、大規模なアーカイブのマネタイズを可能にするAIを活用したコンテンツの分類とタグ付けも増えていると脇本氏は指摘する。
Wasabiが外部の調査会社に委託してグローバルで1100社を対象に実施した調査によると、日本企業の55%がクラウドストレージ費用は予算を超過していると回答し、その50%(平均値)が「容量以外の運用料金」に費やされているという。予算超過の理由は、APIコール料金の高さが55%でトップ(グローバル平均は47%)。このような問題を解決するため、「Windows」ファイルサーバーのストレージ領域をWasabiに拡張するソフトウェア「Wasabi Cloud NAS」を提供する。「日本では約40万台のWindowsファイルサーバーが導入済みと言われているが、これらを効率的に管理して運用コストを低減するソリューションとして顧客からは好評だ」(脇本氏)
日本での注力分野としては、バックアップとファイルサーバーのクラウド化がある。ソリューションの提案先としては、企業の情報システム部門に加え、監視カメラ、医療用画像、大学や研究機関、メディア・エンターテイメントが強化領域となっている。それぞれの市場に詳しいパートナーと組むことでソリューションを展開するという方針だという。
出典:Wasabi Technologies Japan
バックアップソフトウェアとの連携における提案は、「Windows Server」と一緒に提案できる体制を持つことが重要なことからSB C&Sとディストリビューター契約を締結した。これにより、中堅中小企業からミッドマーケットにかけて幅広く対応可能にする。