AIにはハイブリッドデータ基盤が必要不可欠--ClouderaのCEOが自信

末岡洋子

2024-10-31 07:00

 ビッグデータ処理技術「Apache Hadoop」の商用ベンダーとして創業したClouderaは、来るべきAI時代に向けて技術基盤と事業戦略を打ち出している。「ハイブリッド」をキーワードに、オンプレミス資産のサポートを強みに、クラウド型データプラットフォームに対抗する。

 10月に米国・ニューヨークで開催された年次カンファレンス「EVOLVE24 New York」で、最高経営責任者(CEO)のCharles Sansbury氏と最高戦略責任者(CSO)のAbhas Ricky氏に話を聞いた。

--CEOに就任して1年が経過しますが、Clouderaの可能性や機会をどのように見ていますか?

Sansbury氏:Clouderaに入社して約1年が経ち、市場の機会に対する期待は大きかった。Clouderaはグローバルなインフラを持ち、主要な顧客が世界中に存在し、これらの顧客にエンタープライズ向けのデータと分析のプラットフォームを提供できることを楽しみにしていた。世界のトップ10銀行のうち9行、保険業界のトップ10社のうち8社、自動車業界のトップ10社のうち7社がClouderaの顧客だ。

 この1年で特に変わったのは、変化の速度だ。特にAIに関連する動きが加速し、顧客の関心が高まっている。就任当初はクラウドの重要性が強調されていたが、クラウドは大企業向けデータインフラの一部に過ぎない。クラウドは重要で必要だが、大規模なグローバル組織のデータインフラはクラウドだけでは構築できない。

 Clouderaはオンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドの全てでワークロードの管理や移行を実現している。これができるのはClouderaだけであり、AI時代においてさらに求められている。顧客は取引するベンダーの数を減らしたいと考えており、Clouderaは1社でそのニーズに応えることができる。

--Clouderaはビッグデータ企業としてスタートしました。AIの時代の優位性はどこにあるのでしょうか?

Sansbury氏:Clouderaはビッグデータ処理技術でビジネスの基礎を築いた後、2022年に非公開企業になった。それ以来、10億ドル近くを投資して「Cloudera Data Platform(CDP)」などのエンジニアリング作業を進め、市場での地位を強化してきた。

 現在、Clouderaは25エクサバイトのデータを管理しており、これは他のどのデータプラットフォームよりも多い。この膨大なデータ量は、Clouderaのビッグデータとアナリティクスの専門知識によって支えられている。Clouderaはデータを安全かつコスト効率良く保存し、アナリティクスに活用できるプラットフォームを提供しており、これはAI時代においてますます重要になっている。

Ricky氏:私からは、2つの強みを付け加えたい。まず、当初はApache Hadoopを使用していたが、オブジェクトストアを「Apache Ozone」に移行し、現在のCDPはOzoneを基盤としていることだ。これにより、スケーラビリティーなどの利点が得られ、アナリティクスやAIの要件を満たしている。

 2つ目はハイブリッドアプローチだ。オンプレミスでもクラウドでもデータを管理できる。他のデータプラットフォームはクラウドを基盤としているが、われわれはエンドポイントアーキテクチャーとしてハイブリッドを重視している。これにより、顧客は柔軟性を享受でき、オンプレミスやプライベートクラウドでモデルを実行することで、データの管理性、観測性、セキュリティを確保できる。

--AIモデルをデータに近づけるアプローチを提唱しています。そのようなシステムにおけるClouderaの役割は?

Sansbury氏:Clouderaは「Apache Iceberg」を基盤としたオープンなデータレイクハウスを提供している。これにより、異なるデータサイロから共通のフレームワークとフォーマットでデータを取り込むことができる。顧客は大規模言語モデル(LLM)をデータに適用してパフォーマンスを評価し、運用環境で利用するためのツールや機能を利用できる。

 このプラットフォームを使えば、企業のデータサイエンティストは社内データやオープンソース、プロプライエタリーのモデルを試し、用途やニーズに応じて活用できる。

 このように、Clouderaのデータプラットフォームは複数のモデルをテストし、本番環境で使用することを可能にしている。

Cloudera Data Platform(CDP)の概念図
Cloudera Data Platform(CDP)の概念図

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  2. セキュリティ

    マンガでわかる脆弱性“診断”と脆弱性“管理”の違い--セキュリティ体制の強化に脆弱性管理ツールの活用

  3. セキュリティ

    情報セキュリティに対する懸念を解消、「ISMS認証」取得の検討から審査当日までのTo Doリスト

  4. セキュリティ

    ISMSとPマークは何が違うのか--第三者認証取得を目指す企業が最初に理解すべきこと

  5. セキュリティ

    クラウドセキュリティ管理導入による投資収益率(ROI)は264%--米フォレスター調査レポート

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]