市場には、軽量の「Linux」ディストリビューションが多数存在しており、古くなったハードウェアを復活させる優れた選択肢となっている。軽量のディストリビューションがもたらす速度と柔軟性、セキュリティは、それらの古いコンピューターが決して経験したことのない水準のものだ。これはLinuxの美点の1つである。Linuxは、卓越した柔軟性と信頼性、セキュリティを提供するだけでなく、最新の「Windows」が正常に機能しないようなマシンでも快適なパフォーマンスを発揮できる。
そのようなディストリビューションの1つが「WattOS」だ。この飾り気のない軽量デスクトップOSは、ユーザーに即座に親近感を与え、10年前のコンピューターを新しくよみがえらせる。詳しい解説の前に、WattOSの基本事項について少し説明させてほしい。
WattOSのシステム要件
このLinuxディストリビューションは特に軽量化を目的として設計されているため、システムリソースをあまり消費しないデスクトップ環境が採用されている。具体的には、デスクトップ環境として「LXDE」を採用している。LXDEはモジュール化されており、古いコンピューターから「Raspberry Pi」まで幅広いデバイスで優れたパフォーマンスを発揮する。WattOSのシステム要件を見るとそのことがよく分かる。
- 192MBのRAM
- IntelまたはAMDのCPU
- 700MBのディスク容量
上記のようにリソースが少ないPCでも、WattOSは非常に優れたパフォーマンスを発揮する。また、デスクトップは非常に親近感のある配置(スタートボタン、パネル、システムトレイ、デスクトップアイコン)でレイアウトされているため、何らかのバージョンのWindowsを使用したことがある人なら誰でもすぐに使いこなせるはずだ。
筆者は、十分なシステムリソース(3GBのRAM、2つのコア、100GBの内部ストレージ)を備えた「VirtualBox」にWattOSを仮想マシン(VM)としてインストールしたので、皆さんの想像通り、このVMはロケットエンジンを搭載した「Ford Tempo」のようなパフォーマンスを発揮した。つまり、高速に動作する。非常に高速だ。
初期状態のWattOSはかなりミニマリスト的
プリインストールされたアプリケーションには、「Firefox」「Transmission」(「BitTorrent」クライアント)、スクリーンショットツール、「Xarchiver」「Vim」「gThumb」、ドキュメントビューアー、「PulseAudio Volume Control」「GDebi Package Installer」「Synaptic Package Manager」「HTop」「Mousepad」テキストエディターなどがある。それ以外のアプリケーションはあまり多くない。幸い、これに関しては「Synaptic」を使用して必要なソフトウェアを簡単にインストール可能だ。また、コマンドラインから「Flatpak」や「Snap」を簡単にインストールできる(sudo apt-get install flatpak -y、またはsudo apt-get install snapd -yを実行する)。

Synapticで必要なソフトウェアを簡単にインストール可能(提供:Jack Wallen/ZDNET)
最近のほとんどのOSと違って、WattOS(とLXDE)に「システム設定」や「コントロールパネル」アプリは含まれていない。代わりにネットワーク設定、「Bluetooth Manager」、ルック&フィール、デスクトップ設定、セッション設定などの項目を含む「Preferences」(設定)メニューが用意されている。

提供:Jack Wallen/ZDNET
デスクトップ上の何もない場所を右クリックして、「Desktop Preferences」(デスクトップ設定)を選択すると、「Desktop Preferences」(デスクトップ設定)ウィンドウにアクセスできる。そこから壁紙や背景色、テキスト、壁紙モード、デスクトップアイコン、「desktop-as-folder」(デスクトップをフォルダーとして扱う)を設定可能だ。

提供:Jack Wallen/ZDNET
パネルを右クリックすると、「Panel Preferences」(パネル設定)ウィンドウが開き、パネルの位置や配置、余白、サイズをカスタマイズできる。特定の幅や動的な幅を選択して、パネルをドックにすることも可能だ。

提供:Jack Wallen/ZDNET