明治安田生命とIBM、システム開発で生成AIを活用--生産性25%向上を確認

NO BUDGET

2025-03-04 06:35

 明治安田生命保険(明治安田生命)と日本IBMは、ITシステム開発と運用プロセスの効率化と高品質化を目指して日本IBM提唱の「IT変革のためのAIソリューション」を活用した2種類の実証実験を行った。その結果、内部設計から単体テストまでの工程で約25%の生産性向上を確認し、4月から実業務でのパイロット適用を開始する。

 IT変革のためのAIソリューションは、「IBM watsonx」をはじめとした最新のAI技術を活用して、戦略策定からシステム開発、運用、プロジェクト管理まで包括的に支援するために体系化され、2024年3月から提供されている。構成要素は「AI戦略策定とガバナンス」「コード生成のためのAI」「テスト自動化のためのAI」「IT運用高度化のためのAI」「プロジェクト管理のためのAI」の5つになる。

「IT変革のためのAIソリューション」(出典:日本IBM)
「IT変革のためのAIソリューション」(出典:日本IBM)

 明治安田生命は、ホストシステムのモダナイゼーション(最新化)を推進する中で、生成AIの活用が有力な解決策になると考え、企業のAI活用に豊富な実績を持つ日本IBMと実証実験を実施した。ここでは、ITシステムの開発と運用プロセスの効率化と高品質化を目指し、現状分析に基づいて生成AIの活用対象を検討。その結果を踏まえ2024年6月~2025年3月に(1)一連の開発工程の効率化検証、(2)各工程のトレーサビリティーチェック検証――の2種類の実証実験を行った。

 (1)の検証では、「IT変革のためのAIソリューション」の「コード生成のためのAI」と「テスト自動化のためのAI」を活用し、メインフレーム開発の「内部設計、コーディング、単体テスト」の一連の作業に生成AIを活用した。例えば、個人保険システムや企業保険システムの実業務の成果物を使い、生成AIで作成した内部設計書をインプットして、生成AIがコーディングやテストケースを作成し、各作業を連携。その結果、一連の作業で約25%の効率化を実現した。

 (2)の検証では、「IT変革のためのAIソリューション」の「コード生成のためのAI」を活用し、要件定義から外部設計、テスト工程のトレーサビリティーを確認する作業に生成AIを活用した。要件定義書や外部設計書、テストケースなどで使われる保険業界特有の用語に補足情報を加えることで、生成AIの精度向上を実現した。

 2種類の成果を受けて明示安田生命と日本IBMは、2025年4月から実業務環境でのパイロット運用を開始する。明治安田生命は、今回の実証実験をシステム開発力強化の重要な取り組みと位置付け、今後も進化するテクノロジーを積極的に活用する方針だ。4月以降は、要件定義や外部設計の影響調査などの上流工程や、結合テストやシステムテストのケース作成など、対象工程やユースケースを広げて検証を続け、さらなる生成AI活用を推進する予定。将来的には、生成AI活用をベースにしたシステム開発プロセス改革を目指し、日本IBMと協業していく。

 日本IBMは、IT変革のためのAIソリューションの提供により、基幹システムを含むITシステムの開発と運用のあり方を抜本的に変え、顧客と共にIT変革の加速を目指す。

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