Cloudflareは4月14日、同社のエッジコンピューティング基盤「Cloudflare Workers」上で、セキュリティが確保されたグローバルなクロスクラウドアプリケーション構築を実現する新機能「Workers VPC」と「VPC Private Link」を発表した。これにより、開発者は既存のインフラやクラウドの制約にとらわれず、柔軟にビジネスアプリケーションを構築できるようになる。
現在、多くの企業がパブリッククラウド内に、セキュアで独立したネットワーク環境である仮想プライベートクラウド(VPC)を導入している。しかしCloudflareによると、VPCは開発者にとって制限が多く、既存データベースを最新のコンピューティングプラットフォームに接続する際に複雑な作業を要したり、最新クラウド製品の導入を妨げたりする側面があるという。さらに、従来のクラウドプロバイダーでは、地域間やVPC外部へのデータ移動時に高額なエグレス料金が発生し、データが事実上VPC内に閉じ込められてしまう問題や、クラウド間のデータ移動に伴う複雑なセキュリティ要件が課題となっていた。
今回発表されたWorkers VPCは、こうした課題に対応する、従来のVPCモデルに対する最新のアプローチだ。特定の地域に限定されないネットワークとコンピューティングワークロードのために設計されており、アプリケーションのCloudflareリソースを分離された環境にグループ化し、Workers VPC内のリソース間でのみアクセスを許可する。
もう一方のVPC Private Linkは、Workers VPCを他のパブリッククラウドやプライベートクラウドに存在する外部VPCに接続する機能だ。これにより、あたかも単一のクラウド環境であるかのように、外部VPC内のリソースへ安全にアクセスすることが可能となり、クラウドをまたいだ統合的なVPC環境が実現できる。
これら2つの新機能によって、開発者はCloudflare Workers上で、レガシーなクラウドやオンプレミスのデータセンター、あるいは最新のクラウドリソースに安全に接続しながら、手軽かつ迅速にグローバルなアプリケーションを構築できるようになる。
Cloudflareの共同創設者で最高経営責任者(CEO)のMatthew Prince氏は、「開発者は、データがどこにあり、どのようなインフラを使用しているかにかかわらず、好きなツールを使って構築ができるべきだ。われわれは、ネットワーク、セキュリティ、プライバシーに関する専門知識を総動員して、Cloudflare Workersを次世代アプリケーションの構築と接続をするために最適な場所にしていく」とコメントしている。