Microsoftが4月に創設50周年を迎えた。筆者は同社の歴史の大部分を非常に興味深く観察してきた。Microsoftのテクノロジーに関する記事をフルタイムの仕事で書くようになったのは30年以上前のことだが、その10年前から同社の製品の熱心なアーリーアダプターだった。その歴史を振り返ると、いくつもの思い出がよみがえってくる。
Microsoftの話をするときは、数字や節目に焦点を当てたくなる(そうしがちだ)。売上高、粗利益と純利益。従業員数とパートナー数。そしてもちろん、株価。4月第1週は、大量のタイムラインやグラフを目にすることになった。
このような数字はもちろん重要だが、筆者にとっては、ほとんどが目印のようなものだ。私たちの知る世界を本当の意味で変革した企業の浮き沈みを示す、小さな旗のようなものといえる。
Microsoftは米国時間4月4日に創立50周年イベントを開催したが、率直に言って、この日付に根拠はない。初期のMicrosoftはあまり組織化されていなかったからだ。同社は2009年に長大な歴史動画シリーズを作成し、1975年の創設からの歩みを1年単位の時系列でまとめたが、最初の動画に4月4日という日付は1度も出てこない。
いずれにせよ、このシリーズは1999年の章で突然終了し、以下のような弁明が添えられた。
1999年がシリーズの最終回だ。直近の10年間、すなわち2000~2009年については、少し違うことを試してみるかもしれない。少し深く掘り下げる可能性がある。まだ結論は出ておらず、撮影はしていない。
結局、このプロジェクトが再開されることはなかった。その理由は、本記事を読み進めれば明らかになるかもしれない。
Microsoftは最初の10年か20年で、数十億ドル、数億ドル、数千・数百万ドルという資産を持つ富豪を何人も生み出した。それはなぜなのか考えてみよう。
1986年のMicrosoftの新規株式公開(IPO)で1000ドル相当の株式を購入したとすると、現在では500万ドルの価値がある。その日の終わりまでに購入できず、初値から70%上昇した後で買ったとしても、現在の価値は140万ドルだ。
(情報開示:長年Microsoftを取材してきた筆者だが、Microsoftも含めてどのテクノロジー企業の株式も所有していない)
次に、初期の頃に報酬パッケージの一部として株式を付与され、それから10年以上にわたってMicrosoftに在籍した多数の従業員について考えてみよう。計算してみたところ、0の数があっという間に増えていった。
だが、お金の話はもういい。Microsoftはこの50年で、世界経済の変革を自社のソフトウェアによって可能にしただけでなく、文化にも多大な影響を及ぼした。
同社の歴史は、4つの時代に分けて考えると分かりやすい。1つはスタートアップの時代で、残りの3つは上場企業としての時代だ。上場後の3つの時代は、Microsoftの3人の最高経営責任者(CEO)、すなわちBill Gates氏、Steve Ballmer氏、Satya Nadella氏の在任期間と一致している。しかし、CEOの在任中に起きたこと全てが、その1人の功績(または責任)であると考えるのは間違いだ。
では、始まりから見ていこう。

Paul Allen氏とBill Gates氏(1984年)
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