ネットワークベンダーとサーバベンダーは、非公式ながらも長い間、停戦状態を保っていた。しかし、Hewlett-Packard(HP)やCisco Systemsの最近の動向に目を向けると、そういった停戦状態が終わりを迎えたことは明らかである。本記事では、このような変化がいかにIT部門にメリットをもたらすのか、その理由とともに解説する。
すべては、Mark Hurd氏がHPの最高経営責任者(CEO)に就いた時から始まった。Hurd氏は成長機会をPCやサーバ、プリンタに限定することなく模索し、同社のProCurve部門のてこ入れを図ったのだった。
ProCurve部門はネットワーク環境を構築するためのLAN機器やWAN機器、ワイヤレス機器を製造しており、昔から充実した製品ラインアップを誇ってきている。しかし、Hurd氏が2005年に同社のCEOに就任するまで、HPが積極的にProCurve製品を推し進めることはなかった。このためProCurve製品は、Ciscoが20年にわたって君臨していたネットワーク市場における小さな存在でしかなかったのだ。

ProCurve部門がそういった位置付けでしかなかったのは、Hurd氏の前任者であるCarly Fiorina氏がCiscoの取締役会のメンバーでもあり、HPとCiscoの間に深いパートナーシップを築いていたことにも一因がある。Fiorina氏がCEOであった頃には、HPの営業担当者が、ProCurve製品と競合しているCisco製品を勧めるということすらあったのだ。
しかし、Hurd氏はCEOに就任するとすぐにそういった行為を止めさせるとともに、ProCurve部門にリソースを注ぎ込み、成長事業へと転換させたのである。2005年以降、ProCurve部門はネットワーク市場全体よりも高い成長率を維持しており、Ciscoのシェアを徐々に奪ってきているのだ。
かくして、両社の戦いの火蓋は切って落とされた。CiscoはHPの基幹市場の1つであるサーバ市場に対して一気に正面攻撃をかけるための準備を行っているところである。Ciscoは公式に何も発表していないというものの、このことはIT業界における公然の秘密となっている。最近になって、ZDNetやThe New York Times紙、GigaOM、The Register、 Bloomberg、Network Worldを始めとする報道機関は、Ciscoがサーバ市場に近々参入する旨を伝えている。