「企業のあり方がSOAを求めている」--日本BEAシステムズ代表取締役 アリイ ヒロシ氏 - (page 2)

インタビュー:西田隆一(編集部)
文:岩崎史絵、写真:津島隆雄

2005-04-19 10:00

--6つのドメインとは何でしょう。

 まずシステム化の全体最適とビジネス上の長期戦略を合わせ、中・長期のIT計画を最適化するEA(Enterprise Architecture)、そしてユーザーのSOAニーズから現状のシステムを評価するBEA Consulting Servicesがあります。製品カテゴリとしては、開発環境であるBEA WebLogic Workshop、実行基盤であるBEA WebLogic Platformを提供。また開発者コミュニティBEA dev2devを通じて標準化やオープンソースの推進を図り、ワールドワイドの事例を紹介するBEA Best Practicesを用意しています。

 中でも特徴的なのがBEA Consulting Servicesで、ここではSOAを現実のものとしてユーザーに証明するProof of Concept(概念実証)というサービスを実施しています。具体的にはWebLogicを使って、SOAの一部を実装してしまう。実際にユーザーのシステムを評価して理想形であるSOAに近づけるためのステップです。この過程を経ることで、ユーザーもSOAの効果を実感できます。中核となる部分を小規模で作り上げ、確証をもって大きく展開できる基盤を提供しているわけです。これができるのは、実行環境と開発環境が完全に同一であり、迅速にSOAを立ち上げられる基盤として製品を提供しているためです。

 また、ポータル製品であるBEA WebLogic PortalもSOAを構成する製品として重要な位置付けにあります。というのは、SOAを実現するにはポータルから入る方がわかりやすいからです。実際に大手プリンタメーカーのリコーでは、販売チャネルとしてウェブを活用しており、今回ECサイト構築パッケージからWeb Logic Portalへの乗り換えを実施しました。これは、年々増え続ける顧客企業と商品を効率的に管理し、次なるOne to Oneサービスを実現するために必要だったことです。BEAシステムズではこうした国内の事例を数多く抱えており、SOA事例として今年中にはいくつか発表できるものも出てくるでしょう。こうしてSOAの効果を実感できる企業が増えれば、さらにSOAに取り組みたい企業が増える。こうした意味で、今年はまさにSOAが現実のものとしてブレイクする年になると考えています。

--すると今年のBEAのビジネス戦略としては、これまで以上にSOAにフォーカスしてサービスや製品を強化していく予定ですか。

 SOAももちろんですが、当社の従来からの得意分野であるミッションクリティカルについても大いに追求していく予定です。もともと当社は、例えば今年の夏に発表する予定のBEA WebLogic Platform 9.0では、「ノンストップ・アプリケーションサーバ」を標榜しています。具体的には、アプリケーションの移行やサーバのアップグレード時にも、アプリケーションサーバを止めない仕組みを実装しました。これが最大の目玉機能です。

 ご存じのとおり、BEAは運用管理システムTuxedoを始めとし、ミッションクリティカルという面において非常に評価が高い。それが金融や通信、流通業界などの大手企業に多くのユーザーを抱える理由でもあります。

 では、ミッションクリティカル環境が求められる中で、SOAを迅速に実施するにはどうすればよいか。その回答として2つの製品をリリースする予定です。1つは、企業内のビジネスプロセスにのっとって各サービスを連携させる基盤であるESB(エンタープライズ・サービス・バス)で、これはProject QuickSilverというコードネームで開発を進めています。ESBは単にビジネスロジックをサービス化して連携させるだけでなく、ビジネスプロセスを最適化するビジネスプロセス・マネジメント機能を提供します。これが従来のEAI(Enterprise Application Integration)との違いであり、SOAを実現する基盤として期待されているものでもありますが、ESBだけでSOAが実現できるわけではありません。開発環境しかり、実行環境しかり、ポータルのユーザーインターフェースしかり、そして付随するサービスがそろって初めてSOAが現実のものとなります。

 もう1つは、ワールドワイドにおける通信業界のベストプラクティスを集約し、通信業界のSOAフレームワークとして使えるBEA WebLogic Communication Platformがあります。技術としてはSIPやVoIPなど通信業界固有の技術を実装し、企業が迅速にSOAを実現できる基盤製品です。これまでは水平型製品を提供してきましたが、WebLogic Communication Platformによって業界特化型の製品分野へ進出するわけです。

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