大きな影響力を持つWebサービス標準団体が知的所有権に関するポリシーを見直し、選択的なロイヤリティーフリーライセンスの導入を決めた。この改正は、オープンソース開発者に大きなメリットをもたらす可能性がある。
OASIS(Organization for the Advancement of Structured Information Standards)は米国時間7日、同団体の知的所有権に関するポリシーを改正した。新しいポリシーは4月15日から適用される。
OASISは改正の目的について、「オープンスタンダードによる開発を強化する」ためだと、声明のなかで述べている。
オープンソースライセンスの下では、開発者はロイヤリティーが発生する技術を使用することができない。しかし、今回の方針転換により、オープンソース開発者も、OASISの標準仕様を問題なく使用できるようになるだろうと、同団体のメンバーは話している。
ポリシー改正後も従来の「妥当かつ非排他的な(Reasonable and Non-Discriminatory:RAND)」特許ライセンスは維持されるが、これに、標準仕様の特許ライセンスをロイヤリティーフリー(RF)にできる選択肢が追加される。
もっとも、「OASISはオープンソース組織ではない」と、Hewlett-Packardのソフトウェアスタンダード部門チーフであり、OASIS役員会の議長も務めるJim Hughesは述べる。「われわれは、標準仕様を推進する組織だ。RFを唯一の前提とすることも可能だったが、そうしない決断を下した。OASISは従来RANDを基本方針としてきたし、新ポリシーは、OASISメンバーの選択肢を広げるという点で十分すぐれたものになったと考えている」(Hughes)
World Wide Web Consortium(W3C)が「Royalty-Free Patent Policy」のなかで、W3C勧告仕様はロイヤリティフリーを基本とする方針を決めて以来、そのほかの標準化団体は、ロイヤリティーが発生する技術を仕様に盛り込むことについて再検討してきた。
OASISは今回のポリシー改正で、ワーキングループが採用できる特許モードを3種類用意した。3種類とは、「RAND」、「RF on RAND Terms(RANDと同条件でロイヤリティフリー)」、「RF on Limited Terms(限定的にロイヤリティフリー)」の3種である。
とはいえ、この新ポリシーはオープンソース支持者たちの大歓迎を受けるまでには至っていない。
「RFを選択できるようになったことは評価するが、願わくばそれを絶対条件にして欲しかった」と述べるのは、著名なオープンソース支持者のBruce Perensだ。同氏は、新ポリシーには「ワーキンググループが標準仕様からオープンソースを締め出す余地がまだ残っている」と述べる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。