第10回 普遍的なことの発見がEAのポイントに

近藤 佳大(みずほ情報総研) 2005年06月10日 21時15分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 EAの策定効果の一つに、「柔軟で変化に適応できる情報システムの実現」がある。その効果を最大限に発揮するためには、どのようなポイントに注目してEA活動を推進していけばよいのだろうか。

 EAはビジネスと情報システムの「設計図」を描き、それをもとに情報システム等の改善を進めていくものである。また、EAでは現状(As-Is)の設計図を描くだけでなく、将来に向けてどのような変化が必要かを明らかにしていくために理想像(To-Be)としての設計図を描く。そうすることで、ビジネスの変化が情報システムにどのような変化を求めるのか、情報システムに用いられるITの進歩がビジネスにどのような影響を与えるのかがこれまで以上に明確になる。そのため、EAは「柔軟で変化に適応できる情報システム」の構築に貢献すると考えられている。

 このように理想像(To-Be)を通して推進すべき変化(改善内容)を明らかにしていくことに加えて、低コストで変化に対応できる情報システムを実現していくためには、「変化しない普遍的なこと」を明らかにしていくことが重要である。それによって、情報システムを「長期的に変更することなく使い続けられる部分」と「環境変化にあわせて柔軟に改良を行っていく部分」に分けることができるからである。当然のことながら、「柔軟で変化に適応できる情報システム」は可能な限り低コストで実現していく必要がある。そのためには、「変化の必要性の小さい部分」をできるだけくくり出し、長期間使い続けることが重要となる。「変化の必要性の小さい部分」が情報システムに占める割合が大きければ大きいほど情報システムの維持・改良にかかるコストは少なくてすむ。逆に切り分けが明確になされていない場合、たとえ柔軟な情報システムであったとしても改良には多大なコストがかかっていくことになる。また、短期間での情報システムへの機能追加も難しくなる。

 EAにおいては、この「変化しない普遍的なこと」を明確化する取り組みを、データアーキテクチャにおいて実施していく選択肢と、アプリケーションアーキテクチャにおいて実施していく選択肢がある。前者は、EAという最新の包括的アプローチのなかで80年代に生まれたデータ中心アプローチという理想にあらためて取り組むものといえる。一方後者では、Webサービスなどの標準技術を用いることで、ソフトウェアの部品化(サービス化)に取り組んでいくことになろう。「変化の必要性の小さい部分」を再利用可能なソフトウェア部品として切り出すアプローチである。

 いずれの選択肢を選ぶにせよ、「変化しない普遍的なこと」を見出すことが、「柔軟で変化に適応できる情報システム」を低コストで実現するための最重要ポイントの一つといえる。

(みずほ情報総研 EAソリューションセンター 近藤 佳大)

※本稿は、みずほ情報総研が2005年3月1日に発表したものです。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連キーワード
経営

関連ホワイトペーパー

SpecialPR

連載

CIO
トランザクションの今昔物語
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
「企業セキュリティの歩き方」
「サイバーセキュリティ未来考」
「ネットワークセキュリティの要諦」
「セキュリティの論点」
スペシャル
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
展望2017
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
より賢く活用するためのOSS最新動向
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
米株式動向
日本株展望
企業決算