国内のオープンシステム事業のけん引役として
現在主流のオープン系システムは、アプリケーションやミドルウェア、データベースなどのベンダーが群雄割拠している状態で、整合性を持ったデザインではありません。これに対してメインフレームは、ハードを作っている1社だけですべてをまかなっていたため、整合性を気にする必要はありませんでした。システムの信頼性という観点からいっても、メインフレームの方が断然高いのです。
しかしメインフレームは集中型の巨大システムのため、一定以上の信頼性を実現するには膨大なコストがかかります。その点、オープン系製品は1つひとつの信頼性はメインフレームより低いものの、協調性あるデザインの中で効率的に分散させれば、メインフレーム以上の信頼性を出すことができます。VALUMOはオープンシステムの信頼性と可用性、運用効率をアップするための「自律・仮想化・分散・協調」という4つの技術を体系化したもので、これによりシステムを導入したユーザー企業の価値向上を実現できます。
NTTドコモで証明されたオープン・ミッションクリティカル性
われわれは10年前よりオープン系におけるミッションクリティカルシステムをいち早く推進してきました。その当時は「メインフレームをオープンに切り替えるなど、不可能だ」といわれましたが、われわれはメインフレームを“肯定的に否定する”ことで、この市場を創り上げてきたのです。
先ほども申し上げたように、メインフレームもオープンシステムも、それぞれ長短を持っています。特にオープンの場合、整合性の問題があります。「効率的にオープン系製品を組み合わせ、信頼性を持って融合させるにはどうすればいいか」と、常に考えてきました。当社は従来よりメインフレームで高信頼性と高可用性を実現してきたからです。そのNECの技術を集中させ、発表したのが「VALUMOウェア」というミドルウェア製品群で、これにより信頼性の高いオープン系システムが実現できます。具体的には、業務構築運用基盤、サービス構築基盤、システム構築基盤、統合システム運用管理の4製品ですね。これによって実現するソリューションを、われわれは「Open Mission Critical Solution」(OMCS)と呼んでいます。これがVALUMOの成果です。
さらに、VALUMOというわれわれのコンセプトの頂点にあるのが、NTTドコモのiモードシステム「CiRCUS」です。このシステムではUnixサーバを約500台立て、毎秒5万通の通信トランザクションを処理していますが、この2年間、24時間365日ノンストップで稼働しています。500台あるUnixサーバをあたかも1つのように管理し、ロードバランスを取りながらフェイルオーバーを実現しています。これを動かしているのがNECのミドルウェアです。
ちなみに、メインフレームで毎秒5万トランザクションのシステムを作るのは至難の業です。なぜかといえば、メインフレームは1台ですべての処理をまかなうものだから。メインフレームの歴史は、ある意味、1台ですべてをまかなえるような巨大プロセッサの開発の歴史といえますが、オープン系の考え方は「小さいプロセッサを集めて、強大なパワーを実現する」ことにあります。
ただし、繰り返しになりますがオープンプラットフォームの整合性を管理し、信頼性を出すには非常に高い技術力が必要になります。実際、当社もVALUMOウェアを開発するまでには試行錯誤の連続でした。NTTドコモのCiRCUSが実現できたのは、こうした苦労の末に、協調分散型によるミッションクリティカル技術を確立したからです。
そうです。メインフレームは「ゼロ・デファクト」(システムがダウンしない)という世界でしたが、われわれはオープン系で「フェイルセーフ」(システムがダウンしても、安全かつ迅速に復旧)を実現することにより、OMCSを証明できました。これがVALUMOウェアなのです。