開発性を高める包括的ラインアップで攻める--マイクロソフト - (page 3)

インタビュー:西田隆一(編集部)
文:長野弘子、写真:津島隆雄

2005-04-11 10:00

--たしかにエンタープライズ市場では現在SOAが注目されていますね。マイクロソフトの製品でSOA推進役にあたるものは何でしょうか。

 製品というよりも.NET開発環境と言ったほうがいいかもしれません。すでに大きなメリットを受けている業界もあります。例えば通信業界では、通信インフラがIPベースのネットワークに移行しており、競争力を維持するために通信サービスプロバイダはデータと音声、映像を組み合わせた新たなサービスを提供する必要があります。この分野でSOAを効果的に適用したのが韓国テレコムです。課金システムやその他のシステムをオープンソースソフトウェアベースのものから.NETに移行し、SOAを使った大規模なシステムの移行を行いました。これにより、新たなIPサービスを効果的に提供することに成功しました。

--最後になりますが、今後エンタープライズシステムを構成する製品を選択するうえで、企業の担当者はどのような点に留意して製品を選択すればよいのでしょうか。

 大きく分けて3点あります。まず1点目としては、製品提供者がテクノロジー企業として技術革新にどのような姿勢で臨んでいるかを吟味することです。新たなシステムの導入は、企業にとって長期的な影響を及ぼします。ベンダーが技術革新に対してどのようなコミットメントを有しているのか、そしてどのような姿勢で研究開発に取り組んでいるのかを確認する必要があります。

 2点目は、製品の購入から導入、展開に至るまでのTCO(総所有コスト)でどのようなメリットが得られるかを判断することです。この点においてマイクロソフトは、顧客が低コストで技術を導入することに注力しており、優位に立っていると言えます。

 3点目は、スピードと柔軟性だと思います。ユーザー企業が新たなサービスや機能を実現する際に、テクノロジー企業は顧客のビジネスに対応するために素早く機能を提供する必要があります。そうすることによって顧客に対してスピードと柔軟性を提供できるのです。これら3点が差別化の要素となりますが、それ以前の条件として、品質、セキュリティ機能、信頼性や可用性、システムや製品自体の堅牢性、サポートネットワーク体制の確立は言うまでもありません。こうした条件を満たしていることが前提と言えるでしょう。

マイケル・ローディング 氏
マイクロソフト 代表執行役社長 兼 マイクロソフト コーポレーション コーポレートバイスプレジデント
1963年生まれ。ミドルベリー大学を卒業後、ユニシスコーポレーションを経て1993年に米マイクロソ フトに入社。1998年に同社中国地域リージョナル ディレクター、2001年にアジアパシフィック地域担 当 コーポレートバイスプレジデントに就任。2003年2月に同社日本担当 コーポレートバイスプレジデ ント、同年7月にマイクロソフト代表取締役社長に就任し、同年10月より同社代表執行役社長を務める 。

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