NEC(金杉明信社長)は、ITシステムや通信インフラなどの大規模システム の性能データから、将来の負荷状況や障害発生を予測する時系列データマイニ ングエンジン「TrendLiner」を開発した。
CPU使用率やIO密度(単位時間あたりの入出力命令の回数)など、コンピュー タの負荷性能を示す時系列データのパターンをリアルタイムに学習し、将来の 性能値を予測する。これにより、性能値が限界に到達してメモリ不足や装置の 負荷過剰のために障害が発生する時期を予測し、障害を未然に防げる。また、 長い周期の予測に対しては長い時間間隔で、短い周期の予測に対しては小さい 時間間隔でデータを集約することで精度を向上させ、計算時間を削減。加えて、 独自の「階層化モデリング手法」を開発・適用することで、従来の手法よりも 約100倍の高速化に成功した。
同社によると、同技術をBIGLOBEのASP事業で運用中のストレージデバイスの 性能データの将来予測に実験的に適用したところ、代表的従来手法(線形回帰 予測法)に比べて将来性能値の予測誤差を30%削減できたという。今後は、同 社のディスクアレイ製品「iStorage」向け管理ソフトウェアへの搭載を予定し ている。