Microsoftが米国時間6日に「Microsoft Client Protection」というソフトウェアを発表した。同社はこれにより、前から予想されていた企業向けのデスクトップ用セキュリティ製品の分野に参入することになる。
Microsoftはこの分野で、SymantecやMcAfee、Trend Microといった競合各社との激しい戦いに直面することなる。
Microsoftはこれまで、同社のセキュリティ製品に関する計画が曖昧だとして、アナリストから批判を浴びてきた。同社はこの点について6日、この2年間は既存製品のセキュリティ強化と顧客へのパッチ配信の仕組み改善に重点を置いてきたと語った。「今後は新世代のセキュリティ製品の発表に、取り組みの重点がシフトしていく」と同社のDebby Fry Wilson(セキュリティ・エンジニアリング/コミュニケーション担当ディレクター)は述べている。
では、「Client Protection」とはいったいどんなものなのか。以下に概要をまとめた。
新しいセキュリティソフトウェアはどんなもの?
「Microsoft Client Protection」は企業が使うPCやファイルサーバ用のソフトウェアで、単体でスパイウェアやウイルス、ルートキットの脅威からユーザーを保護する。同社によると、企業のIT管理者はこのソフトウェアをつかって社内のさまざまなリソースを一元管理できるという。また、同ソフトウェアは同社の「Active Directory」や「Windows Server Updates Services」パッチ管理ツールと連動する。
「Windows OneCare」との違いは?
Windows OneCareが一般ユーザー向けであるのに対し、Microsoft Client Protectionは企業向けとなっている。2005年に入ってベータテスターに公開されたOneCareは、ウイルス/スパイウェア対策ツールとPCの診断ツールを組み合わせたもので、企業にとって必須である一元管理機能のようなものは含まれていない。Microsoftは6日に、OneCareの正式版が2006年にリリースされることを明らかにした。同製品はサブスクリプション形式で販売される。価格については明らかにされていない。
Microsoft Client Protectionのベースになっている技術は?
同ソフトウェアの基盤になっているのは、Microsoftが2003年に買収したGeCadのウイルス対策ソフトと、2004年後半に買収したGIANT Company Softwareのスパイウェア対策製品だ。
「Windows AntiSpyware」はどうなるのか?
Windows AntiSpywareは、その名の通り、一般ユーザーをスパイウェアから守るために考えられたもので、MicrosoftがGIANT Company Softwareの買収で手に入れた技術がベースになっている。同ソフトウェアは1月からベータ版が公開されており、同社では正式版を2006年に発表できると予想している。このツールも無料で利用できる。
Microsoft Client Protectionと競合する製品は?
SymantecやMcAfee、Trend Microといった大手セキュリティソフトウェアメーカーから、企業向けの競合製品がそれぞれ出ている。この手の製品について実績のないMicrosoftが、長年企業ユーザーから向けられてきた懐疑を払拭し、市場に製品を受け入れさせるまでには、何年もかかるだろうと、Merrill Lynchのアナリストは6日に述べていた。
Microsoft Client Protectionの動作環境は?
このソフトウェアは、Windows XPか、2006年後半に登場予定のWindows Vista上で稼働する。
Microsoft Client Protectionの価格は?
同社はまだ価格やライセンス体系の詳細を公表していない。だが、おそらく(サブスクリプション形式ではなく)ライセンス販売になるものと思われる。
登場時期は?
「限定ベータ」版が2005年末までに登場する。Microsoftは正式版の出荷時期については明確にしていない。Fry Wilsonは6日にClient Protectionの投入時期を明言しなかったが、同社のウェブサイトで公開された文書には、出荷の目標時期は2006年と書かれている。
もっと詳しいことはいつわかる?
Microsoftは、今後数カ月の間にさらに情報が提供できるようになるだろうといっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ