第4回 膨大な情報を「絞る」技術-ESPにおけるアクセス制御

平古場浩之(みずほ情報総研) 2005年12月16日 08時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 検索技術が飛躍的に進歩し、多くの検索エンジンは、ファイルサーバやグループウェア、データベースなど複数の社内情報インフラを横断して検索を行うゲートウェイ機能を提供するようになった。

 一方、多くの情報リソースに対して横断的に検索するために、検索キーワードにヒットする情報やファイルの数が増え、大量の検索結果に辟易してしまうことはないだろうか。欲しい情報が見つからないだけでなく、検索結果を良く見ると本来利用者がアクセスできないはずの情報までリストに表示されてしまうことさえある。インターネットのようにオープンな情報共有と違い、企業組織内における情報を検索する際には、利用者の所属・職位や担当業務に応じたアクセス権限の反映と表示内容の工夫が必要となる。ESPにはこうした企業内の事情を考慮した仕組みが実装されていなければならない。今回は情報を「絞る」技術としてのアクセス制御(ACL)と検索結果を効果的に見せる技術を紹介する。

 情報を格納する社内システムにはそれぞれ認証機能が提供されており、システムの利用者が必要以上の情報にアクセスできないよう一定の制御が設けられている。アクセス制御は、所属・職位や業務の範囲に応じて設定・管理されており、利用者は業務上許可された範囲内での情報アクセスが可能となる。検索エンジンを利用する場合でも、利用者の属性によって検索対象システムに許可された範囲内での情報検索・リストの表示が必須となる。

 検索エンジンは、情報の収集(クローリング)処理を実行するために複数システムにアクセスする。情報収集時のアクセス権限のまま検索処理に反映させると、利用者に適切な情報を提供できず、期待するような情報アクセス効率が得られないことがある。あるいは検索処理の結果、本来利用者がアクセスできない重要情報が表示されてしまうようなケースも考えられ、この場合企業組織においてはコンプライアンス上重大なリスクとなりかねない。

 ESPには、従来の検索エンジンに比べて、アクセス制御機能に対する配慮が求められる。すなわち、作成したインデックスデータごとにファイルのタイトルやリンクなどの基本情報だけでなく、その情報についてのアクセス制御情報をも含めて収集し、そのうえでアクセス制御情報と利用者情報とのパターンマッチングを行ってアクセス許可された情報の絞込みを行うことが求められるのである。一般の利用者がESPから検索を行う場合、まず利用者を特定できるようなIDを入力する。従来の検索エンジンにおいて独自の認証機構を実装しているものはあるが、多くの企業組織で統合認証基盤やEIP(企業ポータル)などが整備されている状況を踏まえると、ESPには独自のID情報の取得・認証処理ではなく、これらと連携することが求められるだろう。

 ESPは、取得したID情報と入力された検索キーワードを元にインデックスデータから該当する情報を検索する。その際、検索した結果リストについてACLチェックを施す方法と、処理の初めに全てのインデックスデータに対してACLチェックを行い、参照許可の与えられたリスト群から改めてキーワード検索を行う方法がある(図1)。

図1 ESPでは検索した結果に対してACLチェックをする場合と、処理の始めにACLチェックをする場合がある

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連キーワード
ビジネスアプリケーション

関連ホワイトペーパー

SpecialPR

連載

CIO
研究現場から見たAI
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
内製化とユーザー体験の関係
米ZDNet編集長Larryの独り言
今週の明言
「プロジェクトマネジメント」の解き方
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
Fintechの正体
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
情報通信技術の新しい使い方
三国大洋のスクラップブック
大河原克行のエンプラ徒然
コミュニケーション
情報系システム最適化
モバイル
通信のゆくえを追う
セキュリティ
セキュリティの論点
ネットワークセキュリティ
スペシャル
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
CSIRT座談会--バンダイナムコや大成建設、DeNAに聞く
創造的破壊を--次世代SIer座談会
企業決算を追う
「SD-WAN」の現在
展望2017
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
PTC LiveWorx
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
さとうなおきの「週刊Azureなう」
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
中国ビジネス四方山話
より賢く活用するためのOSS最新動向
「Windows 10」法人導入の手引き
Windows Server 2003サポート終了へ秒読み
米株式動向
実践ビッグデータ
日本株展望
ベトナムでビジネス
アジアのIT
10の事情
エンタープライズトレンド
クラウドと仮想化