トリニティーセキュリティーシステムズ、新技術のルータを発表--IPSecより安価にVPN構築

田中好伸(編集部) 2006年01月17日 05時53分

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 ネットワークセキュリティ機器開発のトリニティーセキュリティーシステムズは1月16日、新製品「IPN-R100」を発表した。価格は11万8000円で1月31日から販売を開始する予定。

 IPN-R100は、トリニティーセキュリティーシステムズが開発した技術であるIPN(Identified Private Network)を利用したルータ。IPNは、同社独自の動的パスワード認証方式SAS-2と暗号化技術AES(128ビット)を組み合わせた技術だ。

「情報セキュリティ対策は水や空気のようなものでなければならない」トリニティーセキュリティーシステムズ社長の林元?氏

 IPNを用いた認証・暗号方式は、暗号化・復号化に使用する暗号鍵はパケットごとに動的に変更されており、また暗号鍵はネットワーク上を流れることがないために非常に強固な暗号になっているという。IPNによる通信機器同士は、デジタル証明書、認証局(CA)やRADIUSを用いた認証サーバなどを必要とせずに相互認証する。このIPNを利用したルータであるIPN-R100を拠点間通信に用いると、VPN(仮想私設網)を構築することができる。

 現在、VPNでは一般的にIPSec方式が用いられているが、IPSecによるVPNの場合、設定が複雑であり、拠点が増えるほどに導入・設定が煩雑になってしまう。このため、IPSecでは多拠点間での冗長化構成が難しいというデメリットに悩まされることが多い。

「企業向け無線LAN機器はセキュリティ面の不安から伸び悩んでいる」コレガ社長の加藤彰氏

 IPN-R100の場合、IPN技術を用いることで、さらに設定ソフトの「IPNマネージャー」を用いることで、拠点が増えても導入・設定が簡便に済ますことができるという。またIPN-R100は同時接続数128となっていることから、多拠点間のフルメッシュネットワークを構築可能。従来のIPSecでは導入・維持が難しいとされる多拠点間での冗長化構成に対応することができる。

 IPNは、CAやRADIUSサーバを介せずに相互認証するが、その際の相互認証でも、認証のためのパケットを必要としない。また認証に必要なメモリーは数十バイトであるために、認証自体は高速で行われ、認証による遅延はないとされる。これによりIPN-R100では、暗号化通信でも100Mバイトの実行速度を保つことができる。トリニティーセキュリティーシステムズでは、専用線を利用する企業、IP-VPNからインターネットVPNに変更を検討する企業がIPN-R100の導入対象と考えている。

 同社で営業本部副本部長を務める堀川雄二氏は、IPN-R100とIPSecを用いたVPNルータのコストを比較。50拠点に導入するケースであれば「IPSecのVPNルータ(約50万円)を50拠点に導入した場合、初期導入だけで約2500万円。また運営費としてデジタル証明書(約6万円)が50拠点分必要となり、年間の運営費は約300万円になる。しかし、IPN-R100(約12万円)であれば、初期導入の約600万円だけで、その後の運営費はいらない」と、IPN-R100のコストが安くすむとしている。

 同社社長の林元?氏は「求められているのはテクノロジーではなく、安心・安全なシステム環境。情報セキュリティ対策は、水や空気のようなものでなければならない」と、IPNが利用者にとって技術を意識させないものであることを説明している。

 また、トリニティーセキュリティーシステムズは、IPNを無線LANに応用したIPN for Wireless LANを開発。周辺機器メーカーのコレガはIPN for Wireless LANを利用した無線LANのアクセスポイントとPCカード「COREGATO by TSS」シリーズを企業向けに2月末にも販売開始する見込みだ(価格は未定)。

 COREGATO by TSSは、認証局を必要とせずにアクセスポイントとPCカードが相互認証する。アクセスポイントとPCカードは、IPN通信を行うために、なりすましや改ざんを防ぐことができる。

 コレガ社長の加藤彰氏は「企業向けの無線LANは、個人向けに比べると伸び悩んでいる。これは、企業にとって無線LANはセキュリティの面で不安を持たれているためだ」と語る。COREGATO by TSSのメリットは、セキュリティ面での不安を解消すると共に、CAやRADIUSサーバを必要としないことから大幅にコストを削減できることにあると説明している。

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