NECは1月23日、耐障害性を備えた無停止型のIAサーバ「Express5800/ft(フォールトトレラント)サーバシリーズ」において、新たに4機種を発表した。2月3日より出荷開始する。新ftサーバには、同社が新開発したサーバ二重化制御用LSI「GeminiEngine」(ジェミニエンジン)が搭載されている。
ftサーバは、CPUやメインメモリ、ハードディスクなどの主要なハードウェアを二重化することで可用性を高めたサーバだ。二重化されたハードウェアは完全に同期して動作するため、万が一ハードウェアに障害が起こった場合、障害箇所を自動的に切り離し、サーバダウンを回避することができる。
NECは、Stratus Technologiesとの共同開発でftサーバを2001年5月に製品化した。同6月より発売し、国内で4000システム以上を出荷している。両社は2005年11月に同分野における協業を強化すると発表しており(関連記事)、2006年後半からはNECがStratusにftサーバをOEM提供する予定だ。
今回発表した新製品に搭載されているGeminiEngineは、汎用チップセットとft制御LSIを1チップ化したものだ。LSI内部において同期や比較などのft制御ができるほか、複数世代のCPUにも対応する。GeminiEngineの開発においては、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「半導体アプリケーションチッププロジェクト」の支援を得ている。
新ftサーバは、CPUにはインテルXeonプロセッサ 3.80GHzが、OSにはWindows Server 2003 Enterprise Editionが搭載されている。来年度以降は、Xeonデュアルコアタイプの採用や、対応OSをLinuxにまで広げる予定だ。ローエンドモデルの「320Fa-LR」(2ウェイラック型)と「320Fa-L」(2ウェイタワー型)はCPUが空冷方式で、価格はそれぞれ138万円および156万円、ミッドレンジモデルの「320Fa-MR」(2ウェイラック型)と「320Fa-M」(2ウェイタワー型)は水冷方式で、価格はそれぞれ231万円および249万円となっている。
NECの執行役員常務 山本正彦氏は、「サプライチェーンを構成するサーバのシステムダウンは甚大な損害に結びつく。例えば年商500億円規模の中堅企業の場合、1時間のダウンタイムで売上損失が約2500万円にもなる」と指摘、業務システムを支えるIAサーバに高い可用性が求められる背景を説明した。同氏は、業務システムにおいて導入や運用が容易なIAサーバの利用が今後も増加すると見ており、新ftサーバの販売目標として、国内シェアトップを堅持するとともに、2008年度にはワールドワイドで1万1000台の販売を目指すとしている。
NECでは、ftサーバの販売拡大に向けた体制を強化する。まず新ftサーバ拡販プロジェクトチームを30名体制で組み、営業支援や技術サポートを強化する。また、販売店やSIerなどのSEを対象とした高可用性システムの構築スキルを認定する制度において、認定社数を現在の30社から2006年度には200社に拡大し、新サーバの認知拡大や販売の意識付けを図るとしている。
なお、日本ストラタステクノロジーにおいても1月23日、Xeon搭載の無停止サーバを発表している(関連記事)。ただし、今回両社が発表した製品は、NEC、ストラタスが独自に開発した製品で、ストラタス製品にGeminiEngineは搭載されていない。