AppExchangeでビジネスウェブのプラットフォームを--セールスフォース

藤本京子(編集部) 2006年01月31日 18時53分

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 ASPによるオンデマンドCRMベンダーから一歩前進し、アプリケーションプラットフォーム「AppExchange」で「ビジネスウェブ」の中核に立とうとしているSalesforce.com。ビジネスウェブとは、一般コンシューマーに対するウェブ上のサービスと同様、ビジネス向けのサービスをウェブ上で提供するというコンセプトだ。

 同社は1月24日、日本におけるAppExchangeの本格展開を発表した。すでに日本市場に向けたアプリケーションも20以上用意されており、発表当日はパートナー企業と共に大々的なイベントも開催している。この発表にあわせて来日したSalesforce.comのマーケティング統括責任者(CMO)Phill Robinson氏と、共同創設者でテクノロジー統括責任者を務めるParker Harris氏に、AppExchangeとSalesforceの方向性について聞いた。

ビジネスに必要なアプリケーションはすべてウェブ上で

--まず、AppExchangeが生まれた背景と、AppExchangeに伴ってSalesforceが打ち出している「ビジネスウェブ」というキーワードについて教えてもらえますか。

Robinson SalesforceがオンデマンドでCRMサービスを提供するのと同じように、ウェブ上でオンデマンドサービスを提供する企業は数多くありました。ただ、そういったビジネスに必要な数々のサービスがひとつのプラットフォーム上で提供される場というものがなかったのです。

Salesforce.comのCMO、Phill Robinson氏

 コンシューマー向けのサービスにおいては、プラットフォームはすでに存在しています。例えば、AppleのiTunesは音楽のためのプラットフォームですし、Amazonは本のためのプラットフォーム、eBayはコンシューマー同士の商取引におけるプラットフォームです。しかし、ビジネスに必要なアプリケーションがどこにあるのかを探すプラットフォームはありません。ビジネス用のiTunesやeBayが必要だという考えから生まれたのがAppExchangeです。

 AppExchangeにより、SalesforceのユーザーはCRMだけでなくビジネスに必要なサービスをすべて手に入れることができます。それが「ビジネスウェブ」のあるべき姿です。AppExchangeは、ビジネスウェブを実現するためのプラットフォームです。

 AppExchangeはまた、Web2.0の世界でよく語られる「マッシュアップ」も実現できます。マッシュアップとは、複数のサービスを組み合わせ、ひとつのサービスにして提供することです。AppExchange上でSkype TechonologiesのIP電話サービスが利用できたり、Adobe SystemsのPDFが作成できたりするのもマッシュアップの例です。

--今、AppExchange上では約160のアプリケーションがあるそうですね。今後アプリケーションの数はどの程度増えると見ていますか。

Robinson 予想するのは難しいですが、米国でAppExchangeを発表してから4カ月で160までになったのは順調な推移だと思います。ユーザーがアプリケーションを試用した数も8万件を越えました。また、ソフトウェア企業からの問い合わせも500件以上にのぼっています。Salesforceは元々CRMを提供していますが、AppExchangeで提供されるアプリケーションはCRMの枠を越えたものが数多くあります。例えばRemendというソフトウェア企業は、AppExchange上で不動産管理のアプリケーションを公開しています。

 開発者にとって、AppExchangeは自分が開発したアプリケーションを自由に公開できる場ですから、今後もアプリケーションの数はますます増えるでしょう。AppExchange用のアプリケーションを開発するには、ブラウザさえあればいいのです。専用の開発ツールも必要なく、ブラウザ環境だけで開発ができます。また、アプリケーションの公開もホスティングもすべて無料です。

--すべてのアプリケーションを無料でホスティングすると、Salesforceにとって負担が大きくなりますね。今後ホスティングを有料化することは考えていますか。

Robinson それは考えていません。こうしたシステムを支えるために、データセンターを大幅に拡張しました。Salesforceのビジネスモデルは、あくまでもサービスのサブスクリプションで収益を得ることです。AppExchangeというプラットフォームを用意することで、ユーザーの増加が見込めるため、収益アップにつながるのです。

--プラットフォームベンダーといえば、世界最大のPCプラットフォーム「Windows」を提供するMicrosoftが挙げられます。同社もウェブ上でのサービスに注力しようとしていますね。

Robinson そうですね。ただ、Microsoftはまだウェブを十分に活用したサービスを提供できていません。彼らの本質はソフトウェアを販売することにありますし、ソフトウェアを捨てることはないでしょう。Salesforceのコンセプトは「No Software」です。ユーザーは、ソフトウェアを買ったりインストールしたりする必要はないのです。AppExchange上には、ワードプロセッサアプリケーションも会計アプリケーションも用意されています。ブラウザさえあればビジネスに必要なアプリケーションはすべて利用できる--こうしたビジネスウェブの世界を提供するのがわれわれの使命です。

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