ダッソー・システムズは3月7日、MatrixOneの買収計画に関するプレス向けの説明会を開催した。Dassault Systemesは3月2日に、約4億800万ドルの現金でMatrixOneを買収することを発表した。この買収は、株主および行政当局の承認を含む条件面での合意により、2006年6月半ごろに完了する予定となっている。
- 「我々ほどに完全なPLMソリューションを提供できるベンダーは存在しない」と話すDassault SystemesのJohn Squire氏。
Dassault Systemesのワールドワイドマーケティング担当バイスプレジデントであるJohn Squire氏は、同社がMatrixOneの買収に興味を持った理由を、「MatrixOneは、あらゆる企業のニーズをサポートできる豊富な製品ポートフォリオや先進的で定評のあるコアテクノロジ、優れたシステム統合環境を持っていたため」と言う。
同氏はさらに、「MatrixOneの買収により、製品ライフサイクル管理(PLM)による価値をより広い分野の顧客に提供することができるほか、両社の顧客企業やパートナー企業に対し、より短期間でROI(投資利益率)を向上するPLMソリューションを提供できる。さらに、両社の技術や製品、スキルを統合することで、より包括的なPLMソリューションを実現できるだろう」と話している。
米国マサチューセッツ州ウェストフォードに本拠を置くMatrixOneは、ハイテク分野、コンシューマー分野、工業製品分野を中心に、850社以上の顧客にPLMソリューションを導入した実績を持つ。2005年度の売り上げは、約1億2400万ドルであり、このうち新規顧客からのライセンス収入が約35%を占めるという成長企業だ。
Squire氏は、「MatrixOneの売り上げ構成、そしてユーザー構成には非常に興味があった。自動車、航空・宇宙、工業製品分野に強い我々と、ハイテク、コンシューマ、アパレルなどの分野に強いMatrixOneが手を組むことで、高い補完性を実現し、PLM市場に対するリーチを大幅に拡大することができる」と話している。
Dassault Systemesでは、製造プロセスがあまり複雑でない中小規模向けのPLMソリューションとして「SMARTEAM」を、また複雑な製造プロセスに対応した大規模向けのPLMソリューションとして「ENOVIA」を提供してきた。
これらの製品は、ユーザー数で数千人規模まで対応可能だが、今回、MatrixOneを買収することで、製造プロセスがあまり複雑でない中小規模向けのPLMソリューションにおいて、数万規模までのユーザー数に対応できる製品ポートフォリオを拡充することが可能になる。
Squire氏は、「今後、ENOVIAのテクノロジとMatrixOneのテクノロジを融合することで、より複雑で大規模な、数万ユーザー規模のPLMソリューションを実現できる。また、.NetベースのSMARTEAMと、JavaベースのMatrixOneを持つことで、より幅広いプラットフォームに対応できるようになる。これほどまでに完全なPLMソリューションを提供できるベンダーは存在していない」と話している。
同氏は、「現状では、買収計画を発表したばかりであることから、今後の製品ポートフォリオやロードマップについて話すのは時期尚早。今後の発表を期待してほしい」としながらも、「MatrixOneの製品群を精査したところ、プラットフォームレベルで十分に統合可能であることも分かっている」ことも話している。