IDC Japanは4月3日、国内ITサービス市場規模予測について発表した。
発表によると、2005年の国内ITサービス市場規模は前年比3.4%増の4兆7275億円だった。企業のIT投資抑制の影響により2000年から2003年まで成長が鈍化していたが、2003年後半より国内経済の回復にともない企業のIT投資意欲も回復に向かい、2004年〜2005年は前年比成長率を改善した。
企業のコスト削減施策として注目を集め高い成長を遂げていたITアウトソーシングは、成長鈍化が顕在化。同サービスの契約更新時期を迎えた案件において、サービス内容や価格の見直しが増加している。また、IT製品の低価格化、企業収益の回復により、企業のIT投資における「所有から利用へ」傾向の減速が見られる。IDCでは、2006年以降のITアウトソーシング市場は、緩やかに成長率を下げながら推移すると予測している。
2006年以降の国内ITサービス市場は、国内経済の成長、テクノロジーの発展、サービス単価の下げ止りや上昇、企業のIT投資の増加など明るい材料も多く、堅調に推移する見込み。一方、金融業における基幹システム拡充や医療オンライン処理拡充など一部の事項を除くと、市場を強力に牽引する要素は多くない。また、セキュリティ強化、企業会計変更やコンプライアンス対応など、企業のIT投資の増加は見込まれる。しかし多くのベンダーが参入しており、競合状況は激しさを増している。同市場は、2005年〜2010年の年間平均成長率(CAGR)3.5%で成長し、2010年には5兆6232億円に達する見込み。
IDC Japan ITサービス担当シニアマーケットアナリスト松本聡氏は「経済不況下におけるIT投資抑制の影響を受け、企業のIT投資領域が限定的となっている。経済成長期を迎えた現在においても、新分野に対して積極的な投資を行う企業は限られている。サービスベンダーには、『競合やビジネス機会は少ないが、事業開拓が必要な領域』『競合やビジネス機会ともに多い、一般的な領域』など参入している領域を再認識した事業戦略の策定が重要」と述べている。