フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン(フリースケール)は4月4日、メルパルク OSAKA(大阪市淀川区)において、関西地区の戦略強化についてプレス向けに紹介する説明会を開催した。この発表により同社は、関西地区における組み込み技術を活用した家電/車載向けソリューションを強化することになる。
関西地区における重点戦略としては、「教育機関における技術サポート」「販売拠点強化および販売代理店との連携強化」「アプリケーション・ラボの開設による技術サポート強化」の大きく3つが実施される。
まず、教育機関における技術サポートでは、大阪大学 大学院情報科学研究科との連携をスタート。同大学の「ソフトウェアデザイン工学高度人材育成コアプロジェクト」(文部科学省“魅力ある大学院教育”イニシアティブ)の一環として、フリースケール社員による講演の実施や大学院生向け情報ネットワーク学実習を2006年度に実施する予定という。
フリースケールの代表取締役社長、高橋恒雄氏は、「この取り組みは、関西地区におけるフリースケール・ユニバーシティ・プログラムの一環となるもの。2005年度より、インターンシップもスタートしており、今年も1名のインターンを採用している」と話す。
また、販売拠点強化および販売代理店との連携強化では、大阪営業所(大阪市淀川区)の人員を2005年度に3倍に増員したほか、東京エレクトロン デバイスの大阪営業所および丸文などの関西地域における販売代理店との連携強化、九十九電機との協力によるマスマーケット向けマイコン販売強化キャンペーンなどを展開していく。
東京エレクトロン デバイスの代表取締役社長、砂川俊昭氏は、「東京エレクトロン デバイスでも関西地区におけるビジネスの強化を考えており、フリースケールの戦略と方向性が一致している。フリースケールのソリューションをより理解して、関西地区のユーザーにより一層の付加価値を提供していきたい」と言う。
一方、丸文の常務取締役 デバイスカンパニー社長である遠藤洋一氏は、「3年前は圧倒的に関東地区のビジネスが大きかったが、この2年間で関西地区のビジネスが急激に拡大している。丸文では、ネットワーク、コンシューマ、モバイル、自動車の分野に注力しており、フリースケールの戦略と合致する。今回の提携強化によりますます関西地区のビジネスを拡大したい」と話している。
マスマーケット向けのマイコン販売強化キャンペーンでは、「DEMO9S08QG8/QG4ボード」「CodeWarrior」「USBケーブル」「各種マニュアル」などがセットになった「8ビット・マイコン評価キット」(米国では50ドル)を、まず九十九電機のツクモなんば店(大阪・日本橋)で販売する計画。その後、「秋葉原(東京)でも同様のキャンペーンを計画している」(高橋氏)という。
さらに、アプリケーション・ラボの開設による技術サポート強化では、FMC(Fixed Mobile Convergence)、家電、コネクティビティに関するソリューションに注力したアプリケーション・ラボを、2006年4月末までに大阪営業所内に開設する。高橋氏は、「世界有数の家電メーカーが集まる関西地区にラボを開設することで、ワールドワイドにおける家電技術力をリードする拠点としたい」と話している。
同ラボは、名古屋技術拠点(NQAT)とも連携させ、車載機器メーカへの技術サポートも行える体制を確立していく計画だ。これまでフリースケールでは、東京本社を中心に、仙台デザイン研究開発センター、名古屋テストセンター(名古屋営業所)、および大阪営業所の4拠点で日本市場におけるビジネスをカバーしてきた。
高橋氏は、「現在、関西地区の売り上げは、フリースケールの売り上げ全体の20%未満。まずは、(人員を3倍にしたので)売り上げも3倍を目指している。しかしながら、関西地区のポテンシャルは、売り上げ全体の50%以上になってもおかしくないと思っている」と話している。