富士通、ペタバイト級のストレージで「シェアトップをねらう」

藤本京子(編集部)

2006-04-20 21:50

 富士通は4月20日、1.36ペタバイトの容量を持ち、高いI/O処理性能を実現したエンタープライズディスクアレイ「ETERNUS8000」4モデルと、コストパフォーマンスの高いミッドレンジディスクアレイ「ETERNUS4000」4モデルを開発したと発表した。同日より販売を開始し、6月30日より順次出荷する。

 富士通によると、1.36ペタバイトという容量はストレージとして「世界最大容量」。ペタバイト級のストレージとしては、2005年10月にEMCが1ペタバイト(1024テラバイト)まで拡張可能なハイエンドストレージを発表している。

 富士通 ストレージシステム事業本部 ストレージシステム事業部長の工藤哲郎氏は、「ETERNUS8000とETERNUS4000の開発のポイントは3つある」と話す。その3つのポイントとは、1)スケーラビリティとビジネスの継続性、2)データ保全性とセキュリティ強化、3)柔軟な運用管理とTCOの削減だ。

PHOTO 富士通の「ETERNUS8000」。写真はモデル900で、6月30日より出荷される

 スケーラビリティを提供するために、最上位モデルの「モデル2100」をペタバイト級としたのはもちろん、3.6GHzのプロセッサを最大16個搭載することで、現行の「ETERNUS6000 モデル1100」と比較して約2.5倍のI/O処理性能を実現した。これにより、「大規模なストレージ統合や、通常業務とバックアップ業務の多重処理にも対応できる」と工藤氏は言う。

 データ保全とセキュリティに関しては、バックアップ機能の強化やデータ暗号化機能をサポートすることなどで対応する。バックアップには、用途や業務に応じたコピー機能を新たに提供する。また、これまでミッドレンジのストレージでサポートされていなかった非同期モードやiSCSI経由の接続なども実現し、エンタープライズストレージとミッドレンジストレージの機能ギャップを解消、両ストレージ間の接続が可能となった。また、ディスクドライブ内のデータを暗号化する機能を提供する。

 3点目の運用性とコスト削減については、キャパシティオンデマンド(CoD)や他社製品を含めた多くのプラットフォームに対応することで実現する。CoDは、ディスクエンクロージャやディスクドライブなどの活性増設機能をあわせ、業務を停止せずに容量拡張を可能とする機能。また、システム稼働中にボリュームサイズを動的に拡張できるLUNエクスパンション機能もサポートする。

 富士通 経営執行役 ストレージシステム事業本部長 利根廣貞氏によると、富士通のストレージシステムの売上高は2005年の時点で377億円で、国内首位の日立製作所に次いで2位。新ストレージの投入でシェアトップを目指している。具体的な販売目標数は、今後2年間で国内外あわせて1万4000システムとしている。

 他社サーバとの接続性を高めたことも、販売戦略の重要な位置づけとなっている。「たいていの顧客は富士通のサーバだけではなく、マルチプラットフォームでIBMやHewlett-Packardなどのサーバを抱えているケースが多い。2005年は特に他社サーバと富士通のストレージを接続するケースが増えており、接続性を高めることが重要だと感じた」と利根氏。今後もマルチプラットフォーム環境で積極的に同社のストレージを販売していく。

 ETERNUS8000の価格は、1.36ペタバイトの容量を持つ最上位機種が1億4659万円からで、出荷は12月22日より。ミッドレンジのETERNUS4000は、最大記憶容量が7.5テラバイトからで、価格は188万円から。6月30日より出荷される。

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