生体認証(バイオメトリクス)システム関連のディー・ディー・エス(DDS)は4月20日、USBメモリ型の指紋認証装置「UBF-mini」を6月15日から出荷開始することを発表した。SI事業者などの代理店を通じて販売、今後1年間で売上高6億円を目指す。
従来のUSBケーブルで接続する「UBF-blue」はデスクトップPCで利用を想定、今回のUBF-miniはノートPCでのモバイル用として開発されたものだ。なお、UBF-blueは1台のデスクトップPCを複数ユーザーで共用する形態も想定、指紋の情報はサーバで一元管理される。今回のUBF-miniは、1台ずつシングルユーザーでの利用を想定、指紋情報は装置内に格納される。
UBFシリーズに採用されている指紋認証方式は、「周波数解析法」と呼ばれる技術。同技術は、名古屋大学大学院で教授を務める梅崎太造氏が考案、DDSと共同開発した。指紋認証方式で現在主流となっている「マニューシャ法」について、取締役副社長の石田淳一氏は「乾燥や摩耗、手荒れなどで指紋を登録できない人が1〜3%程度存在する。これらの人に対しては、システムは例外措置を取る必要があり、システム管理に負担がかかることになる」と説明する。
周波数解析法をコアとするUBFシリーズについて石田氏は「これまでに企業や自治体に導入、約10万人がエンドユーザーとなっているが、指紋の登録が拒否されたのはゼロ」と、その優位性を説明している。同社では、UBFシリーズの「登録拒否率はゼロ%」としている。
またUBFシリーズでは、指紋の画像データではなく、指紋の特徴情報が登録される。「特徴情報からの指紋の画像を再生することは原理上不可能」(石田氏)なことから、仮に登録されたデータが盗まれたとしても、指紋画像が流出することはないという。
これは、周波数解析法の場合、指紋の紋様パターンをスライスした断面信号を波形とみなして、スペクトル系列を特徴情報として利用するからだ。登録された特徴情報と入力された特徴情報を比較して、照合することになる。UBFシリーズでは、指紋の読み取り部分には、棒状のセンサーの上で指を滑らせて入力するスイープ型指紋センサーを搭載している。
DDSでは、UBF-miniの出荷にあわせて、ライセンス体系を変更している。新しいライセンスとなる「UBFスイート ライセンス」では、ユーザー数とサポート契約期間、指紋認証装置の台数で決定される。