カリフォルニア州サンフランシスコに本拠地を置くActuate Corporationの日本法人であるアクチュエイト ジャパンは5月24日、日本市場における新しい事業戦略についてプレス向けに紹介する説明会を開催した。同社では2005年12月31日付けで吉川浩司氏が新しい代表取締役社長に就任しているが、同氏は“守りから攻めのビジネスへの転換”を強調した。
Actuateは、エンタープライズ・レポーティングのためのプラットフォーム製品を提供するビジネス・インテリジェンス(BI)ベンダー。2006年1月には、カナダのPerformance Softを買収。レポーティングを中心としたBIソリューションだけでなく、パフォーマンス・マネージメント・ソリューションへもビジネスを拡大している。
同社の2005年の売り上げは1億640万ドル。世界20カ国以上に営業拠点を持ち、3500社以上の企業への導入実績を持っている。
まず日本市場の状況について吉川氏は、「ここ数年、日本市場では守りのビジネスを展開してきた。これは米国のITバブル崩壊が要因のひとつだが、日米の景気も回復してきたことから今年は攻めへのビジネスに転換する」と話す。
当面のゴールについて同氏は、「2006年の売り上げを対前年比で200%増加させる。そのためには、現在8名の社員を3年以内に40人体制に、顧客企業を370社から450社に拡大することを目指したい。こうした取り組みにより2009年には、国内BI市場におけるシェア15%を獲得する」と話している。
具体的な取り組みとしては、「金融業界に対するビジネスの強化」および「日本法人の組織改革と積極的投資」の2つを柱に事業戦略を推進する。
まず、金融業界に対するビジネスの強化では、同社はすでに多くの実績とノウハウを持っているものの、「日本市場特有のローカルなノウハウが必要であり、金融業界に強いパートナーとの協業は不可欠。また専門部門を新設し、ハイタッチセールスを強化することで、顧客に直接我々のソリューションを啓蒙していく」(吉川氏)という。
吉川氏はまた、「これまでは機能に焦点を当てた販売を行っていたが、ソリューションに焦点を当てたビジネスに転換する。特に、パフォーマンス・マネージメント・アプリケーションの国内展開を開始することで、顧客管理や売り上げ管理、顧客向けの資産運用管理サービスなどの分野を開拓していきたい」と話している。
同社のソリューションの優位性を吉川氏は、「時間とコストを低減する実績のあるソリューションを提供できること。ROI(投資利益率)を数値として実証できることも強みであり、平均15カ月〜24カ月で投資を回収できることだ」と話している。
一方、日本法人の組織改革と積極的投資では、組織改革および人員増員により、金融営業部門を新設し、導入コンサルティングや教育サービスなどを展開。さらに同社のフラグシップ製品の最新版である「Actuate 9」を2006年夏にリリースする計画だ。
なお、Actuate 9は、2006年6月28日より東京ビッグサイトで開催される「第11回 データウェアハウス&CRM EXPO」の会場で世界に先駆けて披露される予定という。
吉川氏は、「日本で最初にお披露目するのは、日本市場に対する本社のコミットを裏付けるもの。日本市場は、海外BIベンダーと国内BIベンダーがしのぎを削る激戦区。日本の顧客の信頼を得ることができる製品とサービスを提供できる体制を米国本社と共に確立していく」と話している。