EMCジャパンは5月30日、EMCが新たに開発したEMC CLARiX UltraScaleアーキテクチャ搭載のネットワークストレージシステム「EMC CLARiX CX3 UltraScale」シリーズを発表した。CLARiX UltraScaleアーキテクチャは、45件の特許申請中の技術が含まれている。
新アーキテクチャの特徴のひとつに、サーバへの接続からディスクへの接続までエンドツーエンドで4Gbpsファイバチャネル接続が可能になったことがある。これにより、従来と比べて最大2倍のパフォーマンスと容量が実現する。また、「EMC SnapView」や「EMC MirrorView」、「EMC SAN Copy」などのソフトウェアを使用することで、データのレプリケーション速度が最大30%向上できる。
また、ディスク交換ユーティリティウィザードが備わっており、顧客やパートナーが容易にディスクドライブや電源、冷却ファン、SFP(小型フォームファクタプラグ)対応の光学トランシーバを交換できるようになる。2006年第3四半期以降には、認定を受けた顧客やパートナーがCLARiX CX3 UltraScaleシリーズのアレイをインストールするためのプロセスとユーティリティを追加し、既存のアレイにオンラインで容量を追加したり、CLARiX FLAREオペレーティング環境のオンラインアップグレードができるようになる予定だ。

さらに、同アーキテクチャはEMCの仮想LUN(論理ユニット番号)テクノロジも採用している。これにより、無停止の状態でストレージ階層間の情報が移動できる。また、metaLUNテクノロジ機能により、複数のRAIDグループをカバーするLUNを作成し、追加容量が必要な場合、LUNのサイズを動的に拡張することもできる。
EMCのミッドレンジシステム部門 上席副社長 兼 ジェネラルマネージャー Joel Schwartz氏は、新製品が従来機より大幅にパフォーマンスが向上したことをアピールするのみならず、「Hewlett-Packard(HP)やIBMなどがここ半年ほどで発表した新製品は、EMCが2004年に発表したCX700のパフォーマンスよりもレスポンスタイムやトランザクション数において劣っている。EMCでは、競合他社が2年前に出した製品よりも性能が劣る製品を新製品として発表することは許されないのだが」として、EMC製品が優位性を語った。
またSchwartz氏は、CLARiX CX3シリーズが従来機の2倍のパフォーマンスと容量を実現していることから、「競合製品が2台必要となるケースでも、CXシリーズ1台に統合できる。1つのアレイにデータをまとめることで、スペースや消費電力も削減できる」としている。同氏によると、EMCでは過去1年間に20ペタバイト分のHP製ストレージをEMCのCLARiX製品に置き換えたという。
EMCジャパンの代表取締役社長 Edward Neiheisel氏は、「情報量はすさまじい勢いで増加し続けており、こうした情報が今まで以上に重要な位置づけを占めるようになった。EMCでは、ハードウェアはもちろん、情報保護やコンテンツ管理、ネットワーク管理などを実現するソフトウェア企業の買収を続け、2003年から現在までの買収金額の合計が45億ドル以上にも上っている。また買収だけでなく、新プラットフォームの開発や機能拡張、サービス内容の拡大などで、売上の10%以上を研究開発につぎ込んでおり、2005年には10億ドル以上の投資をした。これからも顧客の情報ライフサイクル管理(ILM)の実現に向けた製品を提供する」と述べた。
CLARiX CX3シリーズは、「CX3-20」「CX3-40」「CX3-80」の3モデルが用意されている。各モデルの販売価格は、CX3-20が429万円(税込)から、CX3-40が917万円(税込)から、CX3-80が1595万円(税込)からで、同日より提供開始される。なお、これらの新製品は、29日にデルがDell|EMCブランドで発表したCX3シリーズと基本的には同じものだ(関連記事)。